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「米津玄師」の曲がロングヒットし続ける理由

10/10(水) 9:00配信

東洋経済オンライン

 「Billboard JAPAN HOT100」というチャートにおいて、驚くべきことが起きている。

 このチャートは、CDセールスだけでなく、ダウンロード、ストリーミング、ラジオ再生、動画再生、ルックアップ(PCへのCD読み取り数)、ツイートを合算して計測するもので、現在の音楽市場の実態と動向を、かなり的確に判断していると、評価できるものである。

 驚くべきこととは、米津玄師「Lemon」の超ロングヒットだ。すでに半年以上前となる3月14日のリリースにもかかわらず、10月8日付チャートでも、いまだに4位に食い込んでいるのだ。

 さらには、1年以上前に発売された、「DAOKO×米津玄師」名義の「打上花火」も24位、昨年11月発売のアルバム『BOOTLEG』も、アルバムチャートで13位にとどまっている。

■米津玄師が音楽シーンに起こしている地殻変動

 米津玄師。「よねづけんし」と読む。この1991年生まれの才能が、日本の音楽シーンに今、静かで大きな地殻変動を起こしているのだ。

 では、彼の音楽の何がどう作用して、したたかに長く売れ続けているのであろうか。その秘密を探るべく、1966年生まれの音楽評論家として、恐る恐る米津の作品を聴き込んでみた。そしてわかったこと――。

 ――この音は、売れ続ける理由しかない。言い換えれば、売れない理由がどこにもない。

 シングル『Lemon』『打上花火』、そしてアルバム『BOOTLEG』を聴いた第一印象はそういうものだ。とめどなく流れてくる、やたらとポップなメロディの洪水。

 思い出したのは、小沢健二のアルバム『LIFE』(1994年)を聴いたときの衝撃だ。収録曲「愛し愛されて生きるのさ」や「ラブリー」などの、めくるめくポップさに驚いた感動が、20数年ぶりに戻ってきた感覚がしたのだ。

 では、その「売れ続ける理由」を、私なりに分析してみたいと思う。そしてその分析結果が、私と同世代の方々にも伝わるように、過去の音楽作品や音楽理論を引用しつつ、具体的・構造的に語れればと思う。

 第一の魅力は、米津玄師の声である。

 高く響き渡る粘着質の声。これは、本人がリスペクトしていることを公言している、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文や、RADWIMPSの野田洋次郎の後継と言える声質だ。曲のサビのここぞというところで、あの声質が(後述のように)上下に跳躍すること。それが「売れ続ける理由」の最大の前提となろう。

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