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原口元気は「融合」の象徴となるか。27歳に漂い始めた風格、世代間をつなぐキーマンに

10/11(木) 10:36配信

フットボールチャンネル

 日本代表は12日にパナマ代表と対戦する。今回の合宿にはロシアワールドカップで主力を担った面々も呼び戻された。その中の1人、原口元気は4年後を見据えるうえで重要な存在になっていくかもしれない。世界の厳しさを肌で感じた27歳は、世代間をつなぐ架け橋となれるのだろうか。(取材・文:元川悦子)

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●森保ジャパン、パナマ戦へ臨戦態勢

 2019年1月のアジアカップを視野に入れ、重要な選手選考とチームの土台作りの場となる今回の10月2連戦。その第1弾となる12日のパナマ戦がいよいよ迫ってきた。森保一監督率いる日本代表も新潟合宿スタートからの2日間は疲労回復メニュー中心で、報道陣やファンにも公開されたが、試合2日前の10日からは臨戦態勢に突入。冒頭15分以外は報道陣をシャットアウトして戦術確認を行った。

 サンフレッチェ広島時代から3-4-2-1のフォーメーションをベースにし、2020年東京五輪を目指すU-21日本代表でもその布陣を採用している指揮官だが、9月のA代表初陣となったコスタリカ戦では「全員が一番慣れた形」という4バックを採用。3-0という最高の一歩を踏み出した。それを踏襲するのか、3バックにトライするかは考え方が分かれるところだが、アジアカップで臨機応変な戦い方を目指すのであれば、そろそろ思い切ったトライに打って出る可能性もある。

 16日の相手・ウルグアイに比べると、パナマはやや実力的にも下回ると見られるだけに、大胆な試みをしようと思うなら今回がチャンス。コスタリカ戦に出場しなかった冨安健洋や今回追加招集の北川航也といったフレッシュなメンバーをテストすることも含めて、森保監督のアプローチが興味深いところだ。

 今回の2連戦にはもう1つ重要なテーマもある。それは、もちろん「ロシア組と新戦力の世代間融合」だ。指揮官がロシアワールドカップで主力として日本をけん引した長友佑都や吉田麻也、大迫勇也ら6人をあえてこのタイミングで招集したのも、「世界の大舞台で戦い抜き、結果を出す厳しさを若い世代に伝えてほしい」という願いがあったから。その1人である原口元気も「もちろん代表を引っ張っていきたいですし、経験したものを伝えていかなきゃいけない」と自覚を強めている。

●新天地ハノーファーでは苦しむが…

 弱冠20歳だった7年前の2011年10月のベトナム戦でA代表初キャップを飾った原口も早いもので27歳。今回の23人の中ではちょうど真ん中の立場になる。森保ジャパン発足後に招集され始めた堂安律や冨安のような若手は、ロシアワールドカップまで8年間チームをけん引した偉大なキャプテン・長谷部誠やワールドカップ3大会4得点の偉業を果たした本田圭佑らと接したことがなく、彼らが長年抱き続けた代表魂を知らない。

 その先輩たちとともに過酷なアジア予選を戦い、ロシアで奮闘した原口には彼らが残したものを引き継ぎ、下の世代に伝承していく重要な役割が託される。本人もそれをよく理解しているから「ピッチ上で100%でやること、サッカーに対する気持ちを表現することを見せないといけない」と語気を強めたのだ。ヤンチャな一面を垣間見せることの多かったかつての原口とは全く異なる風格を感じさせてくれたのは、新たな4年間を歩んでいくうえで、前向きな要素と言っていい。

 ロシアの後に赴いた新天地ハノーファーで10番を背負いながら、まだ今季ブンデスリーガ1部でフル出場できていない点には懐疑的な見方もあるが、「(右足を)肉離れしたところがなかなか治らなかった。今の(アンドレ・ブライテンライター)監督から『100%でできてない時は使えない』という話をされていたけど、もういけるところに来た。この前の試合(7日のシュツットガルト戦)でもほぼ100%でできたし、全く心配していない」と原口自身も断言している。

 フィジカル的に不安を抱えていたら、先人たちの熱い魂を伝えるどころか、堂安、伊東純也、中島翔哉らがひしめくサイドアタッカーのポジションで生き残ることも難しくなる。そこは彼自身が誰よりも痛感しているところだろう。

●4年後に向けたキーマンとなるチャンス

 こうした懸念を払しょくし、本当に今の原口元気がロシアで見せたような輝きを放てるか否か…。それを証明するのは代表戦のピッチの上しかない。

 3ヶ月前のベルギー戦で世界を震撼させる豪快な先制弾を決めた背番号8がパナマ戦に出場するのか、ウルグアイ戦に出場するのかはまだ分からないが、ポジションや起用法いかんに関わらず、彼らしい圧倒的な走力を駆使したハードワーク、献身的な守備、攻守の切り替えの速さを出すことは絶対条件だ。そのうえで、ベルギーから奪ったような一撃が飛び出せば、最高のシナリオになるはず。今回は最も得意とする左サイドに戻るという見方も出ているだけに、より期待が高まるところだ。

 あの歴史的なゴールも2016年11月のロシアワールドカップアジア最終予選・サウジアラビア戦以来、1年半ぶりの得点で、原口自身が渇望し続けた待望のゴールだった。それが日本サッカー史上初のベスト8進出につながらなかったことは心残りに違いないが、ワールドクラスの一発を決められるアタッカーだということは世界中も認めている。その再現を見せてくれれば、日本代表も彼自身にも間違いなく勢いが出てくる。原口が目に見える結果を出すことで、堂安や中島ら若い世代も大いに触発されるだろう。

 そういった好循環が生まれて、熾烈なサバイバルが繰り広げられることは森保監督も大歓迎に違いない。指揮官が多くを学んだ先輩、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の薫陶を受け、サッカーのコンセプトを熟知する原口元気ならば、そのけん引役となる資格は十分だ。

「頭をフル回転させる練習メニューがホントに多くて、懐かしさを感じました」と10日の非公開練習後に笑顔で語った背番号8が、その経験値を生かして新指揮官と強固な信頼関係を築き、ロシアワールドカップ組と若手選手をつないでくれれば、実に頼もしい。

 いずれにしても、この10月の2連戦は「4年後のカタールワールドカップを目指す新たな原口元気像」を印象づける絶好のチャンス。この千載一遇の機会を逃してほしくない。

(取材・文:元川悦子)

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