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離島でネズミが増えると海鳥を襲い、サンゴや魚群の生育にも影響する:研究結果

10/11(木) 12:30配信

WIRED.jp

離島でネズミが増殖すると海鳥を襲い、めぐりめぐって生態系が大きなダメージを受ける──。そんな調査結果を英大学の研究チームが発表した。海鳥の減少が結果として、サンゴや魚群の生育にも影響してくるのだという。鍵を握るのは、「鳥のふん」だ。

生態系にとっての最大の「敵」とは?

島にとって、鳥たちのふんほど有益なものは少ない。グアノ(海鳥などのふんの堆積物)には窒素が豊富に含まれており、植物の成長を促進するいい肥料になる。鳥の群れは、このような栄養素をたっぷりと供給してくれるのだ。

島にとって、外来種のネズミほど悪いものは少ない。在来種の鳥たちは、こうした哺乳類の天敵たちとの争い方をまだ学んでいないのだ。

生息地に現れたネズミたちは、卵や雛など、あらゆるものをむさぼり食う。そしてこのような侵略の影響は鳥だけでなく、生態系全体に及び、予想もしない場所にまで広がる。例えば、島を囲むサンゴ礁だ。

窒素が豊富に含まれたグアノは海にも流れていき、サンゴの栄養になる。つまり、ネズミが侵入したことで鳥がいなくなれば、サンゴの生命を育むグアノもなくなってしまう。このような状況がどの程度まで深刻になりうるのかについて、科学者たちは研究報告を『Nature』誌に2018年7月11日付で発表した。

ネズミによる極めて大きな影響

研究者らは、インド洋のチャゴス諸島にあるネズミのいない6島と、ネズミがはびこっている6島を比較することにより、げっ歯類による衝撃的な被害の様相を数値化した。

英ランカスター大学の教授でサンゴ礁の生態を研究するニック・グラハムの研究チームは、その影響を追跡するため島における特定の種類の窒素について調査した。これらの島に生息する海鳥たちは、外洋でイワシなどの小魚をつかまえて食べている。これらの小魚は、グアノに含まれる窒素の重い同位体(質量数の大きい同位体)の供給源になる。

「穀物を食糧とする地上の鳥の場合、彼らの食物は、はるかに軽い同位体特性を有しています」とグラハムは説明する。島を調査した研究チームは、土壌や植物の葉、そしてサンゴ礁などのあらゆる場所で、海鳥由来のより重い窒素を発見した。この窒素は、島に存在していたものではなく、海に由来するものだと考えられる。

グラハムはこの同位体を追跡することにより、ネズミによる被害を受けた海鳥の個体数が、島に蓄えられている窒素の量に対してどのような影響を与えているのかを理解することができた。土壌サンプルの分析により、ネズミが侵略していない島における鳥のふんからの窒素供給量は、ネズミにほぼ占領された島と比較して250倍も多いことが明らかになったのだ。

研究チームはさらに、ネズミのいない島付近の海藻類や魚から、より高いレヴェルの窒素を発見している。「ネズミは、このような系を徹底的に阻害しています。海鳥はこうした島を回避するので、結果として栄養分が堆積されない状況となっています」とグラハムは説明する。

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最終更新:10/11(木) 12:30
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