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(2)被災地訪問:国民と同じ目線でお見舞い

10/12(金) 15:01配信

nippon.com

シリーズ 2回のお代替わりを見つめて
斉藤 勝久

地震や豪雨など、次々と襲ってくる自然災害の被災者をお見舞いするため、天皇陛下は皇后さまと各地を訪問されている。天皇自ら現地に入って亡くなった方々を悼み、被災者を慰め励ますことこそ、「国民の安寧と幸せを祈り、人々に寄り添う」国民統合の象徴としてのお務めと信じられているからである。

西日本豪雨の被災地を2週連続で訪問

日本列島は9月に入って早々に、強い台風21号、震度7の北海道地震に連続して襲われ、多くの犠牲者を出した。その2カ月前の西日本豪雨は、14府県で死者220人を超える甚大な災害となった。両陛下はこの「平成最悪の水害」の被災地の中で、特に犠牲者の多かった広島、岡山、愛媛の3県を、9月14日と21日に2週連続で訪問された。110人を超える最大の犠牲者を出した広島県の訪問は、悪天候のため3度(13日、14日、20日)延期となり、4度目で実現したが、高齢の両陛下には強行軍の日程だった。

お二人は、14日に川の堤防の決壊で2階まで浸水被害に遭った住宅が点在する岡山県倉敷市を訪問。そして21日は午前10時半ごろ、東京・羽田から特別機で出発し、松山空港から自衛隊のヘリコプターに乗り継いで、午後1時前、川が氾濫した愛媛県西予市へ。またヘリに乗り、瀬戸内海を渡って、土石流などで25人が犠牲となった広島県呉市に入り、仮設住宅に暮らす被災者ら80人を見舞われた。

自宅で首まで水につかったという70歳の女性に、陛下は「無事でよかったですね」と話された。皇后さまは赤ちゃんを抱いた若い母親に「よくお守りになりましたね」と声を掛けられた。そして、陛下は退室される前に「元気に過ごされるよう願っています」と被災者を励まされた。この後、お二人は再びヘリで瀬戸内海を渡って松山空港に戻り、特別機で午後7時ごろ、帰京された。

北海道地震の被災地も訪問

何度延期になっても被災地を見舞いたいという陛下のお気持ちは、ご自分が「天皇である来年4月までは、全身全霊をかけて象徴としての務めを果たす」という強い信念の表れと、筆者には感じられる。41人が犠牲となった北海道地震の被災地にも、両陛下は11月に訪問される。

平成3年の雲仙普賢岳噴火から始まり、阪神大震災、東日本大震災など大きな自然災害があるたびに、陛下はあまり時間をおかずに被災地入りしている。避難所で陛下が床にひざをつき、多くの被災者と同じ目線で話し合われる、天皇の新しい姿は「平成流」とも呼ばれた。お見舞い訪問を重ねるたびに陛下、皇室の存在感は増していった。

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最終更新:10/12(金) 15:01
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