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最高益"セブン&アイ"に残された深刻課題

10/12(金) 9:15配信

プレジデントオンライン

■営業利益は「過去最高益」を更新したが……

 セブン&アイ・ホールディングス(セブン&アイ)の業績が好調だ。10月11日に発表した2018年3~8月期の連結決算で、グループ全体の売上高は前年同期比で12%増の3兆3435億円、営業利益は3%増の1996億円で、同期間では過去最高となった。海外のコンビニエンスストア事業の売り上げが大きく伸びた。

 2016年5月、わが国にコンビニを根付かせ“流通のカリスマ”の異名をとった鈴木敏文氏が、会長を退任した(現在は名誉顧問)。中興の祖ともいうべき鈴木氏がセブン&アイの経営から手を引いたことで、同社の経営に不安を持つ市場参加者は少なくなかっただろう。

 鈴木氏の退任から2年以上が経過したが、この間、現社長の井阪隆一氏は不採算店舗の閉鎖などの構造改革を進めてきた。その努力は足元の好業績という形で実を結びつつある。

 ただ、人口減少や少子高齢化が進むわが国の経済環境を考えると、小売業界を取り囲む環境は厳しさを増している。そうした状況下、やや気がかりなのはセブン&アイの改革にスピード感が不足していることだ。

 IT先端技術の実用化とともに、世界経済の変化は加速化している。特に、中国のアリババや米国のアマゾンは世界各国で先進的な取り組みを進め、小売業界での存在感を高めている。セブン&アイが今後の成長を実現するためにはIT先端技術などを用いて、従来にはない発想で業務を改革できるか否かにかかっているといっても過言ではないだろう。

■鈴木氏に依存した結果、後継者が育たなかった

 これまでのセブン&アイの成長は、前会長である鈴木敏文氏の存在を抜きにしては語れない。1973年、鈴木氏は米サウスランド社と提携してヨークセブン(現セブン-イレブン・ジャパン)を設立した。これは、わが国の小売業界に“革命”を起こした。

 それまで、わが国の小売業界では個人商店や総合スーパーの存在感が大きかった。そうした状況を考えると、「米国で流行し始めたコンビニが国内で定着するわけがない」とコンビニ事業への進出を目指す鈴木氏への反対は強かった。ただ、その後の展開を見れば、セブン-イレブンの成功は明らかだ。

 逆の見方をすると、セブン&アイは鈴木氏に依存しすぎた。その結果、商品開発から人事まで、組織の隅から隅まで鈴木氏の意向に従う文化が出来上がったと指摘する流通業界の専門家は多い。

 最大の問題は後継者が育たなかったことだ。

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