ここから本文です

キャッシュレス時代に日本人が「現金主義」から抜け出せない真因

10/12(金) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

● キャッシュレス決済は最低水準 日本の「脱現金」は進むか

 2018年4月に経産省が発表した「キャッシュレス・ビジョン」によれば、2015年時点での日本のキャッシュレス決済比率は18%で、韓国の89%、中国の60%、アメリカの45%と比較して大きく遅れている。その後の3年間でも、日本のキャッシュレス比率は大きくは増えてはいない。今回は、どうすれば日本人が「現金主義」から抜け出せるのかを考えてみたい。

 1990年代、世界的に電子マネーの時代が到来することが予想される中で、筆者はある大企業からコンサルティングの依頼を受けた。「どうすれば、それを止められるだろうか」という依頼だった。

 コンサルタントチームで頭をひねった結論は、いち早く「現金が便利な世界をつくってしまう」ことだった。その後、ほどなくして主要なコンビニにATMが置かれ、ATMの利用料が無料になる金融機関が増え、日本は現金が便利な社会へと進化していった。依頼をしてきたメーカーについては、ご想像にお任せしたい。

 そういう世界ができるのを手助けした立場で言うのも何だが、日本のキャッシュレス化は、前述の企業の目論見通り、20年は遅れてしまった。なにしろ世界一現金が便利な世界ができ上がっており、金融機関も小売店も飲食店も、その前提で設備投資をしてしまっている。いまさらキャッシュレス化に動くインセンティブは小さいだろう。

 そうした前提に基き、今回は立場を変えて、どうすればその状況を壊すことができるのかを考えてみた。日本のキャッシュレス化が進まない理由を考えると、現金が便利になっていること以外に3つのハードルがある。

● 【ハードル1】 電子マネーが多すぎる

 先進国の中で比較して日本に顕著な傾向の1つが、クレジットカード、デビットカード、電子マネーの保有枚数が多いことだ。前述の「キャッシュレス・ビジョン」によれば、日本人は1人あたり平均8枚弱を保有している。内訳はおおよそだがクレカ2枚、デビット3枚、電子マネー3枚。韓国の5枚、アメリカや中国の4枚と比べてとにかく多い。

 このうち電子マネーの特徴は、発行されている種類が多く、お店によって使えないケースが多いということだ。たとえば、セブン-イレブンでは「WAON」は使えないし、まいばすけっとでは「nanaco」は使えない。JRの改札では「WAON」も「nanaco」も使えない。ライバルを排除することで自社の勢力を伸ばそうという電子マネー各社の欲深さが、実は普及の障壁になっている。

 考えてみるとわかるが、電子マネーがこれだけ分散してしまうと、財布の中のお金を把握するのが難しい。今、「SUICA」にいくら、「WAON」にいくら、「nanaco」にいくら、「Edy」にいくらのお金がチャージされているのか、私だってわからない。わからないから、チャージ額は常に最小単位にしておくというのが私の自衛策だ。そうすれば、主に現金を数えておけば、財布の中に入っている手持ちのお金がだいたいわかる。

 電子マネーの業界再編に手をつけるかどうか――。ここがまず、最初のハードルなのである。

1/3ページ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

特集1 テクノロジー 財務 人事 待遇
4つの格差が決める メディアの新序列
特集2 地域ブランド調査2018
魅力ある街のヒミツ