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宝石のような海と島、世界遺産ハロン湾

10/13(土) 10:32配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

エメラルドグリーンの海に1600以上の小島が浮かぶベトナムの景勝地

 ベトナムの自然は様々な顔をもつ。なかでもユネスコの世界遺産に登録されているハロン湾は特別で、この壮大な景観を目の前にしたら、誰しも謙虚な気持ちになるだろう。

【動画】宝石のような世界遺産ハロン湾

 ハロン湾はベトナム北東部クアンニン省に位置し、広大なトンキン湾の一部だ。ユネスコの説明によれば、エメラルドを連想させる緑色の海に大小1600以上の島が浮かび、その大部分が無人島だという。つまり、ほとんどの島が自然の姿をとどめているということだ。

 「ハロン」はベトナム語で「降下する竜」の意。竜はベトナム文化では重要な存在で、竜にまつわる言い伝えは事欠かないほどだ。よく知られているのが、竜の親子が天から降りてきて、ベトナムの人々を侵略者から守り、炎とともにエメラルドやヒスイを吐き出したというもの。竜の親子はそのまま地上にとどまったという。

 やがてエメラルドやヒスイは高くそびえ立つ石灰岩の構造物になり、数千年のときを経て、無数のゴツゴツした岩山に分かれていった――伝承によれば、こうして緑の島と岩の塔が点在するハロン湾が出来上がったという。ちなみに、ハロン湾の近くには「竜の子」という意味を持つバイトゥロン湾がある。

 米カリフォルニア大学バークレー校の講師で、南アジアと東南アジアを研究するハン・トラン氏は「こうした伝承は、ベトナムの信仰や歴史から来たものです」と話す。「まず、侵入者と戦ってきた歴史があります。そして、竜の父(ラクロンクァン)と妖精の母(オウコー)を先祖に持つベトナム人は、たとえ戦争になっても、目に見えない神聖な力が守ってくれると信じていることです」

 言うまでもなく、ハロン湾の魅力は伝承が物語る世界だけではない。米ホフストラ大学の教授で、地質、環境、持続可能性を専門とするロバート・ブリンクマン氏は、科学的な観点からその魅力を説明する。「ハロン湾は、とても進化した珍しいカルスト地形として注目されています」。タワー状のカルスト地形は米フロリダ州やプエルトリコなど、陸上のものはたくさんあるが、海上ではあまり見られない光景だからだ。

 ブリンクマン氏は続ける。「もちろん地質学者だけでなく、ほかの科学者やアーティストもハロン湾のタワー状のカルスト地形に引きつけられます。もっとハロン湾のことを知りたいと思わせる美しい風景は、ここにしかない特別なものなのです」

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■アクセス:ハロン湾はハノイ(「昇り竜」を意味するタンロンと呼ばれていたこともある)から約165キロの位置にあり、バス、タクシー、オートバイ、フェリー、水中翼船などでアクセスできる。旅行会社のツアーも用意されており、空港から直通の送迎車に乗ることもできる。いずれも4時間ほどかかるが、ヘリコプターや水上機に乗れば約45分まで短縮できる。一番のおすすめは、ハノイからツアーに参加すること。ほとんどの人が現地で遊覧船を利用するためだ。

■過ごし方:ハロン湾の日暮れとこの世のものとは思えない日の出を体験するため、ほとんどの人が1泊以上のボートツアーに申し込む。アジア旅行を専門に扱うTMGのCEO、トラン・トロン・キエン氏は「石灰岩の小島に近づくこともできますし、カヤックや海水浴、洞窟観光を楽しむこともできます」と説明する。

一押しはカヤックだ。「カヤックを体験できるボートツアーもありますが、多くのツアー(特に大規模なもの)には含まれていません。カヤックは完全に没頭できる素晴らしい体験です。目の前にそびえ立つ石灰岩の崖を眺めながら、穏やかな海に一人きりで浮かぶことができるのです」(コヒカ・トラベルの共同創業者ミーガン・ハーデスティー氏)

キエン氏はほかの人とは違う楽しみ方として、TMGの子会社ハイ・オウ・アビエーションが運営する水上機に乗ることも勧めている。「現在、ハロン湾のクルージングは5ルートしかありません。しかし、水上機に乗れば、ハロン湾全体を見渡すことができ、その壮大さや小島の素晴らしい造形に感動するでしょう」

■オススメのシーズン:最も良い時期は、強烈な暑さを避けられる3~5月と9~11月。ベトナムの夏は雨期で、冬は曇りの日が多く、肌寒い(気温は10~20度くらい)。

文=SOO YOUN/訳=米井香織

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