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上原浩治のピッチングは奇跡へのプロローグなのか。/川口和久WEBコラム

10/16(火) 10:20配信

週刊ベースボールONLINE

カンフル剤、鎮静剤、カンフル剤

 10月14日、あのヤクルト戦(神宮)は巨人ファンにとって大きな試合になったんじゃないかな。

 菅野智之がCSの大舞台でノーヒットノーラン。ついにファイナル進出を決めた試合だ。
 試合が終わった後の「ヨシノブ」コールは惜別の同情からじゃなかった。
 称賛さ。「いい試合を見せてくれてありがとう。次も期待しているぞ」というね。

 ただ、それもその前の試合があってこそ──。
 13日のファーストシリーズ第1戦、勝利の立役者は上原浩治だった。

 巨人が2対1で迎えた5回二死二塁、打者・山田哲人の場面。
 打たれたら流れは一気にヤクルトに傾く。

 ここで上原の起用には正直、驚いた。9月23日から公式戦登板はなかったし、山田には3打数2安打と相性もよくない。
 だけど、上原は山田をスプリットで三振、その後、6回も続投し三者凡退に仕留めた。

 逆転負けへの分岐点となりかねない場面で必死に踏みとどまり、味方打線に勇気を与えた17球だった。まさにカンフル剤になったね。

 彼は俺が1998年限りで引退した後、入れ替わりで99年、巨人に入った。
 最初から完成されていた投手で、ベース板の四隅にきっちり投げ分け、左打者ならインコースへのストレートで追い込み、外のフォークで打ち取るパターンが確立されていた。
 テンポもよかったし、機械のようなピッチングをするなと思った。

 1年目から、いきなり20勝だからすごい。その後、抑えに回っても活躍し、FAで移籍したメジャーでもリリーフで大活躍をした。

 ただ、今季から巨人に復帰はしたけど、正直、以前とは違っていた。43歳だから衰えもあるしね。
 最初の印象は「球が遅えなあ」だった。それでもストレートと同じ腕の振り、軌道から変化するスプリットと“顔”で抑え、序盤はチームのカンフル剤になった。
 その後、打ち込まれ、「カンフル剤から鎮静剤になっちゃったかな」と思っていたら、最後に帰ってきたね。この大一番でカンフル剤に戻った。すごい男だよ。

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