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「疲労物質=乳酸」はもう古い|「疲れ」はどこから来るのか

10/16(火) 7:01配信

サライ.jp

文/中村康宏

近年、ストレスの過重蓄積による過労死やメンタルヘルスが問題視される中で、これらにいかに対処するかという気運が高まり、「疲労の科学」 が注目を集めています。しかし、「なかなか疲れが取れない」ことを理由に病院を受診しても、検査で原因が判明することはほとんどありません。検査で異常が見つからないことから、精神科や心療内科を受診する人もいます。しかし、そこでも疲れを説明できるような病気が見つからないことが往々にしてあります。そもそも「疲れ」って何なのでしょうか?どのようにして起こるのでしょうか? 今回は疲れのメカニズムについて解説します。

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■疲労には2種類ある

「疲れる」ということはヒトが生命活動をしていく上で必要なサインで、過剰な活動に よって疲弊したり病気になるのを防ぐための重要な症状なのです。

疲れるサインを無視して働き続けたり体を酷使し続けると、過労死やうつ病、生活習慣病をはじめとする様々な病気が起こってしまいます。じつは、その「疲労」は、カラダとアタマを守るための機構として2種類に大別されます。

一つはカラダの疲労、運動などによる肉体的な疲労「末梢性疲労」、もう一つは肉体的な限界に至る前に感じられる疲労「中枢性疲労」です。この2種類の疲れは表裏一体の関係にありますが、『今、自分がどちらの疲れを強く感じているのか』を自覚することで、その時有効な疲れの対処法が変わりますので、疲れを感じた時、まずこの2種類を意識するようにしましょう。(*1)

それを踏まえた上で、疲労の原因が何かを解説したいと思います。

■「疲労物質=乳酸」はもう古い!?

これまで「乳酸」が疲労の原因物質と考えられていましたが、近年の研究によりその考え方は過去のものになりつつあります。従来、乳酸は筋肉の中では疲労回復を遅らせると考えられてきました。血中に放出された乳酸は体内pHの低下(体液のバランスが酸性に傾く)を生じさせることに加え、乳酸が脳にも回り、これが筋肉疲労を脳に知らせているシグナルで、かつ脳の疲労の原因物質であるかのように極めて単純に考えられた時代もありました。(*2)

しかし、乳酸は疲労を抑制するように働く、という従来と真逆の研究成果が注目を集めています。乳酸は運動により筋内から血中に放出されますが、筋肉や心臓に取り込まれ、エネルギー源として利用されることが判明しました。また、脳でも乳酸が神経細胞周囲の細胞によって作られますが、疲労の抑制やエネルギー物質として利用されることがわかってきたのです。(*3)

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最終更新:10/16(火) 7:32
サライ.jp

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