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倒産スーパー社長の独白、地方都市「自壊」のリアル

10/17(水) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 安倍政権が「地方創生」を掲げて久しいが、国が主導して地方の問題が解決するわけではない。とはいえ、地方の人々が自ら声を上げ、立ち上がっても、やはり抵抗を受ける。昨年末に倒産の憂き目を見た山梨県の食品スーパー社長が、自身の奮闘むなしく地方都市が“自壊”する様を語った。(「週刊ダイヤモンド」編集部 岡田 悟)

● 大正元年創業・山梨の地域密着型 老舗食品スーパー「やまと」の倒産

 地方では、コンビニエンスストアすら撤退してしまうほどさびれた場所がある。だがもちろん、その土地に暮らす人がいるため、いわゆる“買い物難民”が発生する。そこで地元スーパーが、トラックに食品や生活必需品を積んだ「移動販売車」を走らせた。

 もちろん、周辺に住むお年寄りは大喜びだった。販売場所に到着すると、スピーカーから「きよしのズンドコ節」、出発する時は「宇宙戦艦ヤマト」の主題歌を流す。だが、それももう聞けなくなった。

 新宿から中央線の特急電車で2時間弱。富士山を北側から望む山梨県韮崎市に本部を置く食品スーパー・やまとが、2017年12月、倒産した。創業は1912(大正元)年という老舗だった。

 2008年には売上高が64億円を超え、県内16店舗を展開したが、その後は減収減益傾向が続き、最後は9店に減っていた。

 3代目の社長だった小林久(55歳)は、先代の放漫経営で経営危機に陥った15年前、39歳で社長に就任し、2年目で黒字化を達成した。環境保護活動にも取り組み、店頭に生ごみの回収ボックスを設け、生ごみを出した客にポイントを付与する手法は、全国ニュースでも取り上げられた。

 他にもホームレスの男性や障害者の雇用、貧困家庭への食品の寄付などの活動で注目され、山梨県の教育委員や教育委員長も務めた。「頼まれたら、選挙以外は断らない、がモットーだから」と小林。冒頭の移動販売車も、地元の韮崎市の副市長の依頼を受けて考え出したアイデアだった。

 そんな小林のもとに、地元以外からも頼みごとがあった。

● 甲府の買い物難民救う出店要請 地元商店街の冷ややかな対応に直面

 山梨県の県庁所在地である甲府市は、郊外にイオンのショッピングセンターが進出した結果、中心部の百貨店や商店街から客足が途絶えて久しい。まさに、全国の多くの地方都市が直面しているような問題だ。

 甲府市ではさらに、市が主導して商店街の中に建設した商業ビルが10年に開業したが、入居していた食品スーパーが撤退。ここでもいわゆる買い物難民化した高齢者が発生した。さらには、暴力団同士の抗争によって発砲事件が起き、もともと少ない客足がさらに減少していた。そこで、商店街の若手商店主の有志が、小林にスーパーの出店を要請したのである。

 同じ県内でも、地域によって対立したり、利権の分捕り合戦をしたり、高校野球の県大会の応援が地域対抗戦の様相を呈したりする――という構図は珍しくない。韮崎市も、甲府市から電車でわずか12分の距離だが、甲府市からすれば、韮崎市のスーパーなど“よそ者”もいいところなのだ。にもかかわらず、甲府市内で出店するスーパーがいなかったため、小林はこれを引き受けた。

 甲府市からの補助金は一切、受け取らなかった。小林はその決意を「自分でその場に身を置いて商売し、行政の補助金に頼り切った商店街の活性化策に、物申したかった」と語る。

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