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「年金分割」熟年離婚は99%やめたほうがいい

10/21(日) 5:00配信

東洋経済オンライン

 「離婚しても、夫の年金を分けてもらえば生活はなんとかなる……」

 数年前にブームになった「熟年離婚」という言葉も、今やだいぶ定着してきました。専業主婦でも年金を分割してもらえば、「嫌な夫とは別れて、ハッピーな老後が送れる」というイメージで語られる場面をよく見聞きします。

 このように虎視眈々と離婚を狙っている主婦の方がいたとしたら、それはちょっと危険です。確かに、公的年金は分割が可能ですが、それで将来の生活が成り立つかどうか、かなり微妙だからです。妻に年金を分けることになる夫へのダメージも大きく、熟年離婚で双方ともに貧乏まっしぐらとなりかねないのです。それは、子どもにとっても無関係ではありません。では、年金分割の知られざる側面を見ていきましょう。

■年金を分割されても「老後は安泰」とは断言できない

 30代の有紀さん(仮名)は、最近、母親から「父さんが退職したら離婚したい」と告白されました。間もなく定年を迎える父親と専業主婦の母親は、現在2人暮らし。母親は、「年金も分けてもらえるらしいので、お金はなんとかなるのでは」と思っているといいます。「はたして、本当に大丈夫なのでしょうか」と有紀さんは心配しています。なぜなら、母親が生活に困るようなことになれば、有紀さんのライフプランにも影響が及びかねないからです。

 公的年金には「年金分割」という制度があり、離婚すると、夫婦の年金を夫、妻それぞれが分けて受け取ることができます。年金分割の制度ができた際には、「これで何も迷わずに離婚ができる!」と、制度が始まるのを待ちかまえる「離婚予備軍」がたくさん現れました。

 しかし、実際はそんなに甘くはありません。共働きで自身でもたっぷりと資産を蓄えてきたなら別ですが、妻が専業主婦で離婚した場合、妻ばかりでなく、夫でさえも、「離婚貧乏」になる確率が高いのです。

 そもそも分割できる年金は、「厚生年金」だけです。仮に、会社員だった夫が将来受け取る年金が毎月20万円だとしても、そこに含まれる国民年金の部分は差し引かれることになります。20万円をそのまま分けるわけではないのです。しかも、分割されるのは、あくまでも「婚姻期間中の記録」に対応する部分のみ。「夫が30歳のときに結婚し、55歳で離婚」というケースでは、30~55歳までの25年の間に納めた保険料から得られる厚生年金だけが対象です。結婚前、離婚後に保険料を納めた分は分割の対象ではないのです。年金の分割とは、「婚姻期間中に納めた厚生年金の保険料の分を夫婦で分ける」のが、正解なのです。

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