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斎藤佑樹らを逃しても山田哲人。ドラフト「外れ1位」の味わい深さ。

10/22(月) 7:01配信

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 CSファイナルステージが終わると、日本シリーズ開幕まで数日のブランクがある。最近はこの期間にドラフト会議が開かれるようになった。

【写真】清原和博が甲子園で輝いていた頃の無垢な表情。

 この時期になると、私はある句を思い出す。

 「琴となり 下駄となるのも 桐の運」

 幕末の林忠崇というお殿様の句だそうだ。

 柾(まさ)の通った美しい桐の木も、伐り出されてしまえば、美女が白魚のような手でつま弾く琴になるか、むくつけき男が素足で踏んづける下駄になるかは、運しだいだ。

 人の世はままならぬものだ、という意味なのだろう。

 ドラフト会議も「運」が大きく左右する。現行のルールでは1位指名選手が重複した場合は「くじ引き」で決めることになっている。くじで外れた球団は「外れ1位」を指名しなければならない。薄い封筒に入った「当りくじ」が球団や選手の運命を左右するのだ。野球選手も「桐の木」とさして変わらないのだ。

 そうした視点で、過去の指名競合選手と「外れ1位」で獲得した選手を眺めてみると、誠に味わい深い。

最も重複した野茂の8球団。

 日本のドラフトで最も指名が重複したのは、1989年の野茂英雄で、8球団が競合した。

 <1989年 野茂英雄(新日鐵堺)>
近鉄 指名権獲得
横浜大洋 外れ→佐々木主浩(東北福祉大)
阪神 外れ→葛西稔(法政大)
ヤクルト 外れ→西村龍次(ヤマハ)
ダイエー 外れ→元木大介(上宮高)×入団拒否
オリックス 外れ→佐藤和弘(熊谷組)
ロッテ 外れ→小宮山悟(早稲田大)
日本ハム 外れ→酒井光次郎(近畿大)

 野茂は1年目から4年連続最多勝、奪三振王、1994年オフにはMLB挑戦を表明し、ドジャースなどで大活躍。その後のNPB選手のMLB挑戦のルートを開拓したパイオニアだが、

 そのくじを外した7球団が指名した「外れ1位」も錚々たる顔ぶれだ。

佐々木を指名した横浜大洋。

 横浜大洋はその後の「ハマの大魔神」を野茂の外れ1位で指名した。佐々木も横浜で大活躍したのちにMLBマリナーズで野茂同様、新人王を獲得した。奇しくも野茂と佐々木は2014年、揃って日本の野球殿堂入りを果たしている。

 その他の球団も、阪神の葛西、ヤクルト西村、ロッテ小宮山と、主戦級の投手を獲得している。

 気の毒だったのはダイエーだ。上宮高の元木大介を指名したが、元木は巨人しか眼中になくて入団拒否。オリックスの佐藤は、のちのパンチ佐藤。戦力的には「?」マークがつけられることもあったが、人気者にはなった。

 翌1990年も小池秀郎が8球団の重複指名になった。

 <1990年 小池秀郎(亜細亜大)>
ロッテ 指名権獲得→×入団拒否
広島 外れ→瀬戸輝信(法政大)
中日 外れ→小島弘務(元住友金属)
ヤクルト 外れ→岡林洋一(専修大)
阪神 外れ→湯舟敏郎(本田技研鈴鹿)
西武 外れ→長見賢司(伊丹西高)
近鉄 外れ→寺前正雄(北陽高)
日本ハム 外れ→住吉義則(プリンスホテル)

 ロッテが当たりくじを引いて喜んだのも束の間、小池は入団拒否して松下電器へ。外れ1位の中では、広島の捕手として重用された瀬戸、ヤクルトの岡林、阪神の湯舟の両投手などが「残り物に福」となった。

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最終更新:10/22(月) 18:31
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