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チェルノブイリ原発事故、その「後始末」に送り込まれた元作業員たちの現在

10/23(火) 8:11配信

WIRED.jp

1986年4月26日、ウクライナ北部のチェルノブイリ原子力発電所で起こったメルトダウンは、最終的に9,000人以上の命を奪い、数百万の人々に影響を及ぼした大惨事となった。この事故によって有毒物質汚染が広がり、放射性粒子が大気を満たし、都市や森林、道路に降り注いだ。

【写真ギャラリー】チェルノブイリ原発事故の元作業員たち

事故直後には火災を消火し、がれきを取り除き、汚染廃棄物を地下深くに埋める必要があった。言うまでもないことだが、それは簡単な仕事ではなかった。遠隔操作のブルドーザーやロボットなどは電気回路が放射線で故障してしまうで、この作業にはとても耐えられないことが判明したからだ。

そこで当時のソヴィエト連邦(ソ連)は、現地に人間を送り込んだ。なんと600万人もだ。

これらの勇敢な消防士や兵士、用務員、鉱夫といった「リクビダートル(ロシア語で「後始末をする人」の意味)」と呼ばれる人たちが、ありとあらゆる事故処理作業を行った。街の通りにホースで水をかけて洗浄することから、汚染された木々の伐採、露出した原子炉の周りにコンクリートの石棺を建設することまでだ。

そして、その間ずっと放射線が彼らの細胞を損ない続け、寿命を縮めてしまった。ロンドン在住の写真家であるトム・スキップは、このリクビダートルたちに関して「たとえようもない自己犠牲です」と語る。

彼らのストーリーに心動かされたスキップは、事故による避難民のために建設されたウクライナの都市・スラヴィティチを今年4月に訪れ、いまは老後を過ごしている生存者たちを写真に収めた。そして、そのポートレートの数々が、個人プロジェクトである『The Liquidators(リクビダートルたち)』という忘れがたい作品になったのである。

「リクビダートルたちは、機械ですら故障するような、あり得ない状況に送り込まれました」と、スキップは言う。「彼ら一人ひとりに、人間としてのストーリーがあります。その物語は、共産主義体制の複雑な歴史や、祖国に対する務めといったものと、複雑に絡み合っています」

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最終更新:10/23(火) 8:11
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