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インフル薬市場、タミフル危うし!塩野義製薬が新薬で本格参戦

10/23(火) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 秋を迎え、全国各地でインフルエンザによる学級閉鎖や集団感染のニュースがちらほら出始めた。

 例年師走ごろからインフルエンザウイルスは猛威を振るうようになる。本格的なシーズンを前に、全国の病院で大阪の製薬中堅、塩野義製薬のMR(医薬情報担当者)が早くも熱を上げている。熱といってもこちらは営業活動の熱。「こんな売り込みやすい製品は二度とないかもしれないぞ」と、社内でハッパを掛けられながら。

 この製品とは「ゾフルーザ」(一般名はバロキサビル マルボキシル、写真)のこと。インフルが大流行した昨シーズン終盤に、彗星のごとく現れた革新的なインフル新薬だ。わずか2週間で40万人に処方され、約24億円を売り上げた。

 1回投与の錠剤タイプ。複数回投与では飲み忘れが起きかねないが、1回だけなので飲み忘れはまずない。ここまでなら昨シーズン売れ筋1番手の第一三共「イナビル(吸入タイプ)」と同じだが、経験者ならご存じのように吸入タイプの薬はコツがいる。薬剤師が丁寧に教えてくれるのが通常だが、患者にすればインフル罹患時に煩わしい作業はストレスフル。薬剤師にしてもレクチャーにかける時間を他の作業に回せるなら仕事が効率的になるだろう。

 そして何よりも、作用機序(体内で作用するメカニズム)が異なる。従来薬はウイルスが細胞外に遊離するのを抑えるのに対し、ゾフルーザはウイルスの増殖そのものを抑える。それが抗ウイルス効果の高さにつながっているとみられ、治験データでは被験者の半分余りで、早くも投与翌日には体内から検出できないレベルまでウイルスを減らした。つまり家庭、学校、職場などでの二次感染の抑制が期待できる。

 治療1セットに掛かる保険適用後の自己負担額(多くは3割か2割)は中外製薬「タミフル」、英GSK「リレンザ」と比べて数百円高い程度。イナビルと比べれば約100円高い程度で、気になるほどではない。

● 指名買いが起きる?

 塩野義は今年度のゾフルーザの売り上げを、前年度比5倍超の130億円と予想している。

 今シーズンは最初から薬局の棚に並ぶことと、高い利便性からすれば謙虚な数字にも思えるが、これは、「統計開始以来最多の2000万人超が感染した昨シーズンほどの大流行の年でない場合の想定」(塩野義関係者)。そもそも複数の既存薬がある中に割って入るには、一定の時間を要する。処方し慣れた薬を続けたい医師は少なからずいるからだ。

 ただしインフルは市民に身近な病気。たとえ医師がタミフルやイナビルを処方しようとしても、患者による「ゾフルーザ指名買い」が起きる公算は大きく、インフル治療薬市場の新旧入れ替えは必至な情勢だ。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 土本匡孝)

週刊ダイヤモンド編集部

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