近年、隆盛を極めているネオクラシックモデル。中でも注目を集めているのが伝統のボンネビルとXS-1を彷彿とさせる、日本と英国の2大両雄だ。直接対決させることで、その本質を探ってみたい。
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〈テスター:丸山 浩(右)国際ライダーやウィズミー代表など、様々な顔を持つ本誌メインテスター。ホンダCB900Fのオーナーで旧車好きとしても知られる。もちろんネオクラも大好物だ。/まとめ:沼尾宏明(左)一般ライダー代表として参戦。味わい系の外車が好物で、先代の空冷ボンネは意中の1台でもある。初試乗の水冷トラも気に入った様子〉
往年の名車イメージを取り込みながら、現代に再構築した「ネオクラシック」は、欧州を中心に人気を集めているジャンルだ。その代表格の1台がトライアンフのボンネビル。元々は1959年に登場した当時の世界最速機で、ロッカーズやカフェレーサーといった流行を巻き起こした傑作だ。21世紀に、この車名と姿が復刻され、現在に通じるネオクラブームの祖となった。’16年に865cc空冷バーチカルツインが水冷化され、1197ccと899ccの2本立てで新生。今回のストリートツインは、ボンネビルの意匠を引き継いだエントリー版の位置付けとなる。
〈トライアンフ・ストリートツイン(103万~105万6000円) 空冷ボンネビルの後継として‘16年にデビュー。新作の水冷ユニットを投入し、従来型から14kgもの軽量化も果たした。マフラーやアルミキャストホイール、低めのシートなどは専用品で、兄弟車のボンネビルT100や上級版のT120より身近な価格を実現した〉
〈水冷化されても伝統のバーチカルツインは健在。55psを発揮する排気量900ccのOHC4バルブユニットは、270度クランクによる従順さと3230rpmで発生する最大トルクが特徴だ。電制スロットルにトラコン、スリッパークラッチまで装備〉
まず外観は、古き良き時代のバイクそのもの。よく見るとエンジンにフィンが装着され、ラジエターを細身にするなど水冷ユニットに見せない工夫が随所に施される。FIカバーなど細部の質感も高く、クオリティは抜群だ。
走りも、このスタイルを裏切らないものだった。900ccの排気量ながら、出力特性がマイルドで急かされることがない。トルク感を伴った背圧のあるサウンドが常に心地よく、速度を上げるほど強調されていく。だが、真骨頂は、スローに流すシーン。例えば5速60km/h以下など回転が落ちた状態でアクセルを開けるとダダッダダッと振動が大きくなるが、これがまた可愛げがあって味わい深い。わざとギヤを外して乗りたくなるほどなのだ。
一方のXSR700は、かなり対照的だ。外観は、タンクの塗り分けにXS-1の面影を感じさせるものの、他に懐古的な要素は薄く、新しいデザインを試みている。質感はストリートツインほどではないものの、かなり高い。
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