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ご当地アイドル自殺 「1億円払え」発言と「高校の費用12万円」めぐる事務所と遺族の食い違い

10/24(水) 8:03配信

デイリー新潮

 わずか16歳の少女が自分には居場所がないと感じ、自ら死を選ぶ――これほど悲しい話もなかろう。胸中に黒々と広がる絶望が、ついに死への恐怖すらをも覆い尽くした時、彼女は電気コードを手に取った。

 愛媛県を拠点に活動していたご当地アイドルグループ「愛(え)の葉(は)Girls」のメンバー、大本萌景(ほのか)さんが自殺したのは今年3月21日のことだった。無残な姿となった彼女を最初に発見したのは、母親の幸栄(ゆきえ)さん(42)である。

 萌景さんと連絡が取れないことを心配した幸栄さんは、午後1時40分頃に自宅に到着。急いで2階への階段を上り始めた彼女の目に飛び込んできたのは、紫色に変色した足だった。

「紫色になった足には白い模様が点々とついていて……。さらに階段を上りながら見上げた時、全開になった萌景の部屋の“戸当たり”に電気コードが引っかかっており、そこに萌景がぶら下がっているのが目に入ってきたのです」

 幸栄さんが声を絞り出す。

「私は急いで電気コードを外そうとしたのですが、なかなか外れず、1階にいた私の父と母に向かって“萌景が首つっとる!”と叫びました。すぐに父が119番し、救急隊が来るまで心臓マッサージをしていた。その後、救急車に乗って病院に行きましたが、お医者さんからは“何も出来ることはありません”と告げられました」

 萌景さんの姉の可穂さん(19)はこう述懐する。

「病院の萌景の部屋に入っても、なかなか萌景の側に行けなくて……。お母さんから“はよ、おいで。最後やけん”と言われて目にした萌景は、顔が真っ白で、唇が真っ青で、なんか変な点々も付いていて……。それを見た瞬間、私、立てなくなってしまって、ずっと座っていました」

辞めるなら1億円払え

 そんな形で突如として家族の一員を喪(うしな)うという悲劇から7カ月弱――。自殺の真相を追い続けてきた幸栄さんらはついに、訴訟を起こすという道を選んだ。

 計約9200万円の損害賠償を求めて訴えられたのは、萌景さんが所属していた愛媛県松山市の「hプロジェクト」や同社の佐々木貴浩社長(50)など。遺族側が、自殺の背景には事務所によるパワハラや苛酷な労働環境があった、と訴えているのは報道されている通り。事務所側はそれを全面否定しているが、いずれにせよ、何かが最終的な引き金となり、萌景さんは自殺した。その点についての遺族側、事務所社長側、双方の主張についてここで触れておきたい。

 遺族側の代理人を務める望月宣武弁護士が言う。

「今回の一件において、長時間労働や健康面に配慮しない事務所のやり方が、問題の根底にあります。ただ、最終的に自殺に繋がったトリガーの一つは、貸す予定だった費用を貸さないと彼女が言われたことだったと考えています」

 自殺する前日の3月20日、萌景さんは母親と共に事務所を訪ねている。それまで学んでいた通信制ではなく、全日制の高校に転学するための費用、約12万円を借りることになっていたからだが、2人を待っていたのは、「お金は貸せない」という事務所スタッフの言葉だった。

「そう言われた後、彼女は自殺の方法について調べ始めるようになります。その日の夜11時頃には佐々木社長との電話で『(グループを)辞めるなら1億円払え』と言われるわけです」

 と、望月弁護士が続ける。

「社長の発言が最後のダメ押しとなった可能性はありますが、少なくとも、学費を貸さないという発言によって自殺を考えるようになったのは間違いない。しかも、彼女のスマホの検索の履歴を見ると、日常的に自殺を考えていたということはなく、3月20日に初めてそうしたことを調べている。そう考えると、彼女にとって学費を“貸さない”という発言がいかに大きかったかが分かります」

 母親の幸栄さんも言う。

「お金を貸さないと事務所で言われて帰る車の中、萌景の表情は今まで見たこともないくらい本当に暗くて、ちょっと話しかけられない雰囲気でした。そうしたら急にボソッと『ママ、刃物が飛んでくるっていう言葉あるやん? でも、今日の言葉はね、おっきな刃物が飛んできた』と呟いたのが忘れられません」

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最終更新:10/24(水) 11:19
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