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中国に技術と知的財産を盗まれ続けていいのか

10/25(木) 6:00配信

JBpress

 現在生起している米中貿易戦争は、単に米中間の貿易不均衡を巡って生じたものでない。中国による不公正な貿易慣行に対する制裁措置として関税を引き上げたものである。

 中国の米国の知的財産侵害に対する度々の是正要求に対して中国はその都度、是正を約束したが、中国の行動は変わらなかった。

 一例を挙げれば、2015年9月の米中首脳会談で、米国と中国は、競争上の優位性を提供する目的で、企業秘密または他の秘密のビジネス情報を含む知的財産のサイバーを利用した窃取を行わないまたは知っていながら支援しないことで合意した。

 簡単に言えば、政府機関による自国の国有企業または民間企業の経済的利益のためのサイバースパイ活動をやめるということである。

 ところが、合意後3週間のうちに、米国の企業7社が中国政府と関係するハッカーからサイバー攻撃を受けた。そして、その後もサイバー攻撃がやむことはなかった。

 トランプ政権はこのような中国の態度に業を煮やして、今回の制裁に及んだのである。

 米の戦略家エドワード・ルトワック氏は、新聞とのインタビューで次のように述べている。

 「中国企業は米国の先端技術を盗み、自分のものにして大きくなった。それらの中国企業は国家安全省とつながっており米国は問題視している」

 「(中略)これはビジネスの問題でない。中国が支配する世界、中国に牛耳られた経済の中で生きていくのか、それとも複数の極がある世界で生きていくか、という問題である」(読売朝刊10月13日)

 現在進行中の米中貿易戦争の根底には、ルトワック氏の言うとおり米中2大国による覇権争いが存在しているのは間違いない。

 歴史を振り返れば、時代とともに覇権国は変遷してきた。

 21世紀は中国の時代になるのか、あるいは米国が覇権国として踏みとどまることができるのか。そして、米中の覇権争いの狭間で、日本はどのような地位を占めようとしているのか。

 以下、トランプ政権の対中制裁の概要、米国の知的財産侵害に関連する3つの報告書、および我が国の課題について述べる。

■ 1.トランプ政権の対中制裁の概要

 米通商代表部(USTR)は2017年8月にドナルド・トランプ大統領の指示を受け、中国の知的財産侵害の実態を調査してきた。

 米通商代表部は2018年3月21日に「米企業が中国に進出する際、合弁企業の設立などで技術供与を強要されている」などとする調査報告書を公表した。

 トランプ大統領は、この報告書を受けて、同22日に「301条調査に基づく米国の措置に関する大統領覚書」*1
を発出した。 同覚書では、中国に対して制裁措置の発動を決定し、米通商代表部に関税を賦課する対象品目と税率の引き上げ幅の提示と中国の差別的なライセンス慣行に関してWTO(世界貿易機関)による解決を指示するとともに財務長官に対し、中国企業の対米投資の規制強化案の提案を指示した。

 そして、2018年7月6日、米政府は、自動車や半導体、医療機器、産業機械など中国のハイテク産業育成策「中国製造2025」の重点投資分野から選んだ818品目の中国製品340億ドル(約3兆8千億円)分に25%の関税を発動すると発表した。

 これは、米国通商法301条に基づき、中国の知的財産侵害に対する制裁関税の第1弾を発動したものである。

 第2弾は8月23日、化学品など160億ドル分に同じく25%の追加関税を課した。

 第3弾は9月24日、家具や掃除機といった日用品などに2000億ドル分に10%の追加関税を課した。

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最終更新:10/25(木) 6:00
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