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アフリカでワニの新種が見つかる、80年ぶり

10/26(金) 17:54配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

800万年前にできた火山に分断され、別々の進化を遂げていた

 アフリカの中央部で、新種のワニが発見された。ワニの新種が正式に記載されるのは、じつに80数年ぶりのことだ。

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 カメルーンからタンザニアにかけての広大な場所に生息するこのワニは、Mecistops leptorhynchusと名付けられ、10月24日付けの学術誌「Zootaxa」に論文が掲載された。

 この種はこれまで、西アフリカに生息するアフリカクチナガワニ(学名:Mecistops cataphractus)と同じ種だと考えられてきた。アフリカクチナガワニの学名が変更されることはない見込みだ。今回の新種記載によって、現在、近絶滅種(critically endangered)に分類されているアフリカクチナガワニの生息数はさらに減少することになる。

 論文の筆頭著者で、ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーでもある米フロリダ国際大学のマット・シャーリー氏は、現在のアフリカクチナガワニの野生での生息数をわずか500匹と推定している。

800万年以上前に分断されていた

 シャーリー氏によれば、アフリカクチナガワニのウロコは大きくて重く、皮膚も固いが、新種M. leptorhynchusの外見の印象はより柔らかくなめらかだ。また、アフリカクチナガワニの頭部には骨が隆起している部分があるが、M. leptorhynchusにはそれがない。

 だが、何より大きな違いは遺伝子にある。論文によると、2つの種の遺伝子が分かれたのは800万年以上前、現在のカメルーンにあたる場所に火山群ができたころだ。火山活動によってこの一帯の往来を妨げる山ができ、それ以来遺伝子の交流が途絶えることとなった。

 こうして地理的に隔てられたことで2種はそれぞれ独自の進化を遂げた。現在では、特定の重要な遺伝子の塩基対が5%以上も異なっているという。

失われていたタイプ標本

 近年、ワニの分類を見直す動きはほかにもある。たとえば、米国自然史博物館のジョージ・アマート氏は、コビトワニは1種ではなく3つの種に分かれることを示しているし、シャーリー氏とアマート氏のグループは、ナイルワニに2つの異なる種が存在することを見つけた。

 しかし、シャーリー氏によると、正式な記載と命名の手続きが行われたのは、1935年以降でM. leptorhynchusが初めてだ。米アイオワ大学や米フロリダ大学の助けを借り、世界中の博物館のたくさんの標本を選別するという作業も行われた。シャーリー氏自身も、アフリカ14カ国を巡る徹底的な現地調査を実施した。

 この作業は大変だった。西アフリカの種M. cataphractusについて、公式にこの種を定義する「タイプ標本」がどこにもなかったからだ。責任はナチスにある。シャーリー氏によると、第二次世界大戦中、ドイツ軍の爆撃機が英ロンドン自然史博物館を攻撃した際、このワニのタイプ標本が破壊されたらしいという。そのため、新しい標本を指定せざるをえなかった。さらに、M. leptorhynchusのタイプ標本が、種を判別しづらい若い個体であるということも、作業を困難にした。

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