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里親委託率18.3%、子どもが「家庭環境」を選べる社会に必要なもの

10/26(金) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 日本の里親などの委託率は、全国平均で18.3%。何らかの事情で実親と暮らせない子どもの多くは、施設で暮らしている。里親委託率は徐々に増加傾向にあるが、里親制度の普及にはまだ時間がかかりそうだ。現場で社会的養護が必要な子どもと接する大人たちは、何を見ているのだろうか。(取材・文/フリーライター 大藪順子)

● 10月と11月は 東京都の「里親月間」

 10月と11月は、東京都の「里親月間」。里親制度とは厚生労働省曰く「さまざまな事情により家庭での養育が困難になった子どもたちに、温かい愛情と正しい理解を持った家庭環境の下での養育を提供する制度」だ。

 今年の東京都の里親月間は、10月1日に里親制度の改正と共に始まった。この改正では、里親になれる人を増やすためなどの理由から、里親の年齢制限など条件を緩和したのだ。

 厚生労働省の2018年3月の統計によると、虐待、経済的理由、親の病気などの理由で実親と暮らせない子どもの数は約4万5000人。日本の里親等の委託率は全国平均18.3%だが、新潟市で51.1%、静岡市で45.5%など、自治体によりその現状は大きく異なっており、全体的には里親委託が増える傾向にある。それでも施設で暮らす子どもたちが全体の81.7%と圧倒的に多く、里親制度が普及しているとは言い難い。

 ちなみに、里親制度が日常の中で身近な風景となっているアメリカでは、社会的養護が必要な子ども約34万7000人のうち、里親委託が45%、親戚に預けられている子どもは32%、そしてグループホーム5%、施設7%と、集団生活をしている子どもの数が圧倒的に少ない(※2016年アメリカ 合衆国保健福祉省児童家庭局の統計)。こうしたアメリカの統計の裏には、日本とは大きく違う住宅事情や世間体を気にしない国民性がある。

● ドラマの影響も 里親に高まる理解

 日本では里親制度をもっと定着させるべく、ここ10年間に里親委託を増やしたさいたま市や福岡市を筆頭に、各地の自治体が、児童相談所に専任の里親担当職員を配置したり、里親支援機関の充実や積極的な広報活動を行うなど、さまざまな取り組みを通して里親登録を呼びかけてきた。

 「国としても施設での養護より家庭での個別ケアへと方針を転換し、里親等 委託率を75%以上に伸ばすことを目標にしています」と語るのは、児童養護施設等で活動するボランティア団体「イチゴイニシアチブ」のメンバー横井菜穂子さん(31歳)。東京都杉並区で「阿佐ヶ谷里親プロジェクト」の一環として、社会福祉法人聖友ホームの聖友乳児院と協力しながら、夏から秋にかけて数回「里親カフェ」を開催する。

 里親カフェの目的は、杉並区内で里親・里子の味方を増やすこと。支援者の中から将来的に里親になる人が出ることにも望みをかけている。

 また、子育て支援に従事する人に社会的養護の世界を知ってもらい、両者をより豊かにしたいという思いもあるという。

 「最近ニュースやドラマなどで里親制度や養子縁組制度が取り上げられることも増え、関心も高まっています。毎回の里親カフェの反響も大きく、定員オーバーとなり参加をお断りしなければいけないこともありました」(横井さん)

● 施設養護を希望する実親 「取られてしまいそう」

 2度目の里親カフェは、阿佐ヶ谷の小さなカフェで参加者16人で行われた。ゲストスピーカーとして、里親経験の長い松岡明子さんが登壇。松岡さんは15年前、あるホームレスの家族との出会いから里親になることを決心した。それ以来、一時保護や短期間の委託を含め13人の里子を受け入れてきた。

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