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Jリーグが狙う「アジアのプレミアリーグ化」の勝算

10/28(日) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 Jリーグは1993年に開幕し、今年で25周年を迎える。25年前は増加傾向にあった日本の人口も今では減少傾向にあり、2050年には1億人を下回ると言われている。人口の減少に伴い市場の縮小は避けて通れない現実であり、これまでほぼ100%国内のマーケットのみを対象に成長してきたJリーグも、強い危機感を持っている。株式会社Jリーグマーケティング海外事業部の小山恵氏が、自ら取り組むJリーグ世界市場へのチャレンジの最前線をお伝えする。

● 10年2100億円の巨大契約が意味するもの

 Jリーグは2017シーズンから10年間で約2100億円という大型の国内放映権契約を、英国Perform Groupと結んだ。この契約は日本のプロスポーツ史上で最大級の規模であり、この大きな契約金がJリーグに自由度の高い経営と将来への様々な投資を可能にしたことは非常に大きい。しかし逆に言えば、向こう約10年間の国内放映権収入は固まっており、大きく金額が増えることはない。今後のリーグのさらなる発展を考えたときに、海外で稼ぐというのは自然で必至の考え方である。

 世界に目をやれば、イングランドのプレミアリーグを筆頭にグローバルでの市場争いが激化している。衛星放送の拡大とインターネットの技術革新によって、強いコンテンツは自国内のみならず世界中でライブ視聴される。ゆえに欧州のビッグクラブは自国以外により多くのファンを抱えているのが現実だ。

● プレミアリーグは年間600億円程度の放映権料をアジアで稼ぐ

 欧州の各リーグはアジアを注力市場とし、アジアの視聴者獲得、つまり放映権マネー獲得のために様々な活動を行っている。プレミアリーグは海外放映権だけで年間1500億円以上を稼ぎ出しているが、そのうちの4割近くがアジアからのマネーだと言われている。

 アジアといってもタイ、マレーシア、インドネシアといった、GDPレベルでは日本よりも低い東南アジアの国々が、日本よりも大きな放映権料を投資している事実がある。それだけ東南アジアにおいてプレミアリーグの価値は高く、サッカーコンテンツに大金を投資する土壌があると言える。

 毎年のように巨額のアジアマネーが欧州サッカー界に流出しており、その資金をもとに多くのスター選手が欧州に集中する。こうして実質欧州一極集中の構図ができ上がりつつある。

 本来アジアマネーはアジアサッカーの為に使われるべきであり、欧州リーグに資金が流れる構図を変えないかぎり、アジアサッカー界の劇的な発展はないと考えている。もっと言ってしまえば、この巨額のアジア放映権マネーの一部でもJリーグに持ってくることができれば、リーグの新たな成長ドライバーになると筆者は確信している。

● 2012年に本格化したアジア戦略 「Jリーグをアジアのプレミアリーグに」

 そのような背景の中で、Jリーグも海外市場、特にアジアへ打って出る必然性を感じ、2012年にJリーグの関連会社である株式会社Jリーグメディアプロモーションの中に「アジア戦略室」というプロジェクトチームが結成された。筆者は、チーム結成のオープニングメンバーとして加わったが、当時はゼロからのスタートで何が正解なのかも分からないままに奮闘していたことを覚えている。

 当初、チームメンバー(といっても3、4人)の中で共通で想い描いていたゴールが『Jリーグをアジアのプレミアリーグに』ということである。『Premier』という英単語は、『最高の』とか『最上位の』と訳されることが多いが、とにかくJリーグにアジア中のスター選手が集まり、その試合をアジア中のファンが観戦している状態を作り出そうという発想だ。その中でも経済成長も著しく、日本との関係も友好であり、何よりサッカー人気が圧倒的に高い東南アジアを最初のターゲットに置いた。

● 前例のない挑戦、東南アジア選手のJリーグ加入

 最初は非常に苦労した。なにしろ東南アジアのスター選手を連れてくるにせよ、これまでJクラブが東南アジアの選手を獲得した実績はなく、むしろ東南アジアは日本よりもサッカーのレベルが高いとは言えないので、選手の市場として注目もされていなかった。限られた予算で最強チームを作ることが責務となるチームの強化・編成責任者の立場に立てば、東南アジア選手の獲得はかなりのチャレンジだ。

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