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増えるベネズエラ難民、ブラジルへなだれ込む

10/31(水) 10:02配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

食料、安全、仕事を求めてブラジルにやって来た人々は今

 南米オリノコ川の河口に広がるデルタ地帯には、ベネズエラの先住民族としては2番目に多いワラオの人々が住んでいる。35歳のミラグロス・リベロもデルタの小さな集落で家族とともに暮らしていたが、手に入る食べ物は魚とタロイモだけだった。2018年6月、一家は故郷を後にし、800キロの旅をしてブラジルにやって来た。

ギャラリー:苦境のベネズエラ難民

「食べ物を求めてここに来たのよ」と、テントの脇でリベロは話す。彼らは今は、ジャノコイダ避難所にいる。国境を越えたブラジルの町パカライマに、最近設けられた避難所だ。

 毎日、荷物を背負い、書類を手にした何百人ものベネズエラ人が、やっとの思いで国境にたどり着く。全財産を売り払って旅費を工面し、避難してきた人々だ。経済の急激な落ち込みや極端なインフレ、治安の悪化、食料と医薬品の慢性的な不足に見舞われた祖国から、食料や薬、安全、仕事を求めてブラジルを目指す。

職を求めてブラジルに逃れたものの……

 2017年以降、5万8000人を超すベネズエラ人がブラジルに定住した。資金が尽き、パカライマにとどまる人も多い。パカライマはつい最近まで人口1万2375人の穏やかな町だったが、現在では少なくとも数百人が路上やテント、駐車場で寝泊まりしている。8月には地元のレストランの店主がベネズエラ人に襲われたという報道の後に、彼らの野営地が次々に放火される事件があった。

 パカライマにいる家のないベネズエラ人の数は公式発表で434人とされているが、実際にはもっと多いようだ。スペイン人の神父ヘスス・エステバンは、こうした人々のためにコーヒーとパン、果物の朝食を毎日1500人分以上も用意しているが、「余ることなど、ありませんよ」と話す。

 パカライマから200キロ余り離れたロライマ州の州都ボア・ビスタまで歩く移住者も多い。人口33万2000人のこの都市のほうが活気に満ち、経済が安定しているからだ。職を求めるベネズエラ人が街中にあふれている。労働者の賃金は1日1000円以下に落ち込んだ。

 パカライマとボア・ビスタには、ワラオのための避難所が1カ所ずつある。そこでは健康管理や食料支援は受けられるが、下水の臭いがきつい、雨期に周囲が水浸しになるといった問題もある。

 ブラジル政府は国連とNGOの協力を得て、これまでにボア・ビスタに合計9カ所の難民避難所を設けた。現在4200人が滞在しているが、大勢の難民が後に控える。滞在中の難民をほかの州に移し、新たな移住者を受け入れる計画ではあるが、現実には遅々として進まない。ボア・ビスタの外れにどうにか小さな住まいを借りた移住者のなかにも、困窮するあまり、少数ながら帰国を検討する人もいる。

※ナショナル ジオグラフィック11月号「苦境のベネズエラ難民」では、治安の悪化や物資の不足が深刻なベネズエラから、ブラジルに押し寄せる難民たちついてレポートします。

パウラ・ラモン/ジャーナリスト

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