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戴冠を決めたハミルトンにベッテルが「辞めるな」と言った理由

10/31(水) 12:01配信

webスポルティーバ

 第19戦・メキシコGPを4位でフィニッシュしたルイス・ハミルトンが自身5度目の戴冠を決め、大観衆の前でドーナツターンを決めて喜びを表現した。

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 マシンから降りたハミルトンのところへ、チャンピオン争いに敗れたセバスチャン・ベッテルがインタビューを早々に切り上げて歩み寄り、声をかけた。

「辞めないでくれよ、僕には君という来年戦う相手が必要なんだから」

 アスリートは最高の好敵手がいてこそ磨かれ、光り輝く。来季の雪辱を期すベッテルにとって、ハミルトンという当代最強のライバルがいなくなることほど残酷なことはない。

 しかし、自身も4度の王者であるベッテルは、激しい戦いの末に勝利を掴み獲ったその達成感の大きさを知っているがゆえに、ハミルトンが新たな挑戦へのモチベーションを見出すことができず、F1から去ってしまうのではないかという不安を抱いたのだ。

 5度目の王座を獲得したハミルトンは、それを味わうように、この1年を振り返った。

「去年だってすばらしい1年だった。それを終えたとき、どうすれば自身の限界をさらに超え、今まで以上に能力を絞り出すことができるだろうかと考えた。だけど結局のところ、これといった何か特別な方法論なんてない。最良のバランスを見つけ、いい流れを作り上げて、キャリアで最高のレースができたことが、今ここに座っている理由なんだと思う」

 シーズンが始まってみれば、フェラーリはかつてないほどの速さを誇り、これまで絶対王者であり続けたメルセデスAMGをしばしば凌駕した。

 それはハミルトンとメルセデスAMGにとって、これまでになく厳しいシーズンを意味していた。

「今年は本当に厳しい1年だったし、すばらしいバトルに満ちたシーズンだった。これは多大なる努力によって成し得たもので、自分たちの限界をさらに押し上げる本当に大きなチャレンジだった。

 夏休み前のハンガリーGPの時点で、自分たちが最速でないことはわかっていた。しかし、それでも勝つことができたんだ。フェラーリにとっては衝撃的な事実だったかもしれない。

 そしてモンツァ以降はさらに強く、僕らは階段を上がり続けた。このメキシコでだってフェラーリのほうが速かったけど、僕らはそのマシンパッケージを彼らよりもうまくオペレートすることができた。それがポイントだったんだ」

 自分たちの限界を超えること――。そのためにベッテルとフェラーリの存在が果たした意味は大きかった。ライバルが強力だったからこそ、ハミルトンとメルセデスAMGはさらに上を目指し、自分たちの限界を超え続け、未知の領域へと辿り着くことができたのだ。

「今年1年を通して、僕らは何度も試されてきた。最速のパッケージではなく後れを取った週末でも、僕らは自分たちを信じることを忘れずに何かを手に入れ、勝利を勝ち獲ったりしてきた。マシンから特別なラップを引き出したり、特別な時間だと感じたことが何度もあった。本当に魔法のような経験だったと言っていいだろう」

 独走優勝のレースよりも、心が躍るような激しいバトルに満ちたレースのほうがいい。ハミルトンはことあるごとに、そう口にしてきた。今もその言葉に変わりはない。

 そういう意味で、ベッテルとフェラーリが速さを見せ、ハミルトンの牙城を脅かし続けた今シーズンは、ハミルトンにとってタフであると同時に最高の日々だった。

「僕はモンツァで繰り広げたようなレースが好きだ。あれこそが僕が求めるレースだし、ああいう好バトルが毎戦のように繰り広げられれば、僕としてはこんなにうれしいことはない。

 ライバルと直接やりあい、どちらが先にブレーキを踏むか、どちらが速いのか、それを決めるのが究極の競争だと思う。プレッシャーがかかる状況で、いかにメンタルの平穏を保てるかという勝負でもある。僕はそういう競争は大歓迎だし、実際に今年はそういう場面が何度もあった。プレッシャーのなかで、自身の能力を証明してこられたんじゃないかと思っているよ」

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最終更新:10/31(水) 12:01
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