ここから本文です

スバル、スズキも。エンジン大排気量化の新潮流

10/31(水) 17:00配信

日経ビジネスオンライン

 ガソリンエンジンの燃費性能を高める手段として、排気量を大きくする“アップサイジング”に日系自動車メーカーが舵を切る。大排気量化は、かねて出力向上の手段にするのが一般的だった。燃費改善につなげる新しい潮流が始まる背景には、実走行中の燃費値に近づけた新測定法の導入がある。一方で、排気量に応じて増える自動車税が普及への課題となる。

【関連画像】2018年7月に発売。1.5Lガソリンエンジンを搭載する小型車。軽自動車のジムニーもある。

 SUBARU(スバル)が2018年7月に発売した新型「フォレスター」のガソリンエンジン車で排気量を2.0Lから2.5Lに、スズキは同月に発売した小型ガソリン車「ジムニーシエラ」で1.3Lから1.5Lに大きくした。

 両社が意識したのが、実走行中の燃費値に近づけた新しい走行試験モード「WLTC(Worldwide-harmonized Light vehicles Test Cycles)」である。

 WLTCモードによる燃費値の表示は欧州で2018年9月から、日本で同年10月から新型車を対象に始まる。中国やインドも今後導入する計画だ。現行の走行試験モードに比べて燃費値は悪化する方向で、各社が悪化するのを抑える対策を進めている。

 例えば欧州の場合、従来のNEDCモードに比べて加減速が激しく、最高速度が高くなる。エンジンの高負荷域を使う比率が増えるため、実燃費値に近づくものの値は悪化する。車両質量によっては、NEDCに比べて2割近くも悪化するとみられている。日本では現行のJC08モードに比べて、欧州と近い程度に悪化する傾向とされる。

 排気量を大きくするとWLTCモードにおける燃費値の悪化を抑えられるのは、相対的にエンジンの低い負荷域を使えるためである。エンジンは中負荷域の燃費性能が高く、高負荷になるにつれて悪化するからだ。排気量を増やせば、WLTCモードの高負荷域でエンジンの中負荷域を使えて燃費値の悪化を抑えられるわけである。

VWが1.5Lにアップサイジング

 エンジンを“アップサイジング”する取り組みをかねて主張してきたのがマツダである。同社でエンジン開発を統括する常務執行役員の人見光夫氏は2015年、日経Automotiveの取材に対して「アップサイジングが実燃費の改善に貢献する」と語っていた。

 一方、アップサイジングしたガソリンエンジンをいち早く量産化したのが、ドイツ・フォルクスワーゲン(VW)グループである。排気量を従来の1.4Lから1.5Lに増やした「EA211 TSI evo」の量産を2016年後半に開始し、「ゴルフ」などに搭載した。

 小排気量化(ダウンサイジング)を先導してきたVWグループの方針転換は、業界に衝撃を与えた。WLTCの導入間近になり、日系メーカー各社が追随し始めた格好である。

 スバルが開発したのは、排気量2.5Lで自然吸気の4気筒水平対向ガソリンエンジン「FB25」。先代フォレスターの2.0Lに比べて、排気量を25%増やした。

 WLTCへの対応を想定し、「従来の2.0L搭載車に比べて、高速域の燃費性能を高めた」(スバルのエンジン技術者)。JC08モードの燃費値が14.6km/Lに対して、WLTCモードは13.2km/Lと燃費値で約1割の悪化にとどめられた。

 先代フォレスターの海外仕様に自然吸気の2.5L版はあったが、日本では初めて。海外仕様の2.5Lはポート噴射で、新エンジンでは直噴にして大きく変えた。熱効率に直結する圧縮比は12.0と、従来の2.5L版の10.5から大きく高めている。エンジン型式こそ「FB25」で先代の海外仕様エンジンと同じだが、大幅改良といえる。

 スズキが発売した小型車のジムニーシエラに搭載したのが、排気量1.5Lで直列4気筒の自然吸気ガソリンエンジン「K15B」である。

 WLTCモードへの対応に備えて、先代の1.3Lから15%ほど排気量を大きくした(注1)。ジムニーシエラの販売の主力は、WLTCを先行して採用する欧州である。

*注1:インドネシアで2018年4月に発売した「エルティガ」に採用したばかりの新しいエンジンである。エルティガで横置きしたエンジンを縦に置き替えて搭載した。排気系部品や冷却部品などはシエラ用に新しく設計している。排気量を大きくしたことで、先代に比べて出力性能も上げられた。最高出力は15%増の75kW、最大トルクは10 %増の130N・mに達する。

1/2ページ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

日経ビジネスオンラインの前後の記事

あなたにおすすめの記事