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インド発、必要が生んだ低コストな医療イノヴェイション

11/1(木) 12:12配信

WIRED.jp

英国の国民保険サーヴィス(NHS)は、数々のトラブルに悩んでいる。資金難、高価な薬の利用にまつわる議論、医師と看護師の人材不足。こうしたニュースが毎週のように聞こえてくる。

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そしてほとんどの発展途上国でも、同様の問題が起きている。急騰するコストが、医療の将来に悪影響を与えつつあるのだ。

だが、地域固有の資金不足と人材不足にもかかわらず、こうした問題にうまく対処している国もある。インドのような場所で必要に迫られて生まれた「安上がりなイノヴェイション」は、世界中の医療コストを抑制できる知恵と解決策を与えてくれるかもしれない。

スマートフォンを利用した眼科用システム

失明を例に説明しよう。全世界の失明の4分の3は回避できるものだが、従来の眼科用撮像システムは高価すぎて、インドのほとんどの病院にとっては手が届かない。

そこで、バンガロールのスタートアップであるレミディオ(Remidio)は、スマートフォンのカメラに取り付けられる持ち運び可能な装置を考案した。トレーニングを受けていない医療従事者でも使用でき、価格が3倍もするような卓上の装置と同程度の性能を発揮する。

レミディオの最高経営責任者(CEO)であるアナンド・シヴァラマンは、「制約の多い環境にいると、革新的にならざるを得ません。新しい技術やツールやアイデアを試みることに対して積極的になることを学ぶのです」と語る。

シヴァラマンは最近、同僚たちとの共著で『Eye』に論文を発表した。『Eye』とは『Nature』が発行している、論文審査のある眼科医療専門誌だ。シヴァラマンの研究チームによると、開発した装置と、米カリフォルニア州の企業アイヌーク(Eyenuk)の人工知能を組み合わせたことで、糖尿病性網膜症を検出できたという。糖尿病性網膜症は一般的な眼疾患だが、通常は専門家によって診断されるものだ。

レミディオの最初のターゲットは発展途上国だったが、この製品の性能と携帯性は、世界中の医師の注目を集めている。ロンドンにあるムアフィールズ・アイ・ホスピタルは最近、保健所での糖尿病性網膜症の検査に使用できるか評価するために、この装置をいくつか購入したとシヴァラマンは言う。

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最終更新:11/1(木) 12:20
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