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【ボクシング】11・4東日本新人王決勝 這い上がってきた男たちの人生が交錯する

11/2(金) 14:46配信

ベースボール・マガジン社WEB

 11月4日(日)、後楽園ホールで東日本新人王戦決勝が行われる。豊富なアマチュア経験を備えた実績組ばかりが、トップの座に躍り出てくる昨今。75回の伝統を重ねるトーナメントの出場者はアマチュア経験なし、あってもほんの少しの実績。いうなればその後につくはずの花が見えない青いつぼみばかり。それでも全12階級、24人がリングの夢を競い合う。今年もまた「いずれはチャンピオン」という素材もちらほらと見える。そんななかから、注目の試合をひとつ。フェザー級だ。ボクサーとしての将来、さらには人生の新たな扉をこじ開けたい二人の精鋭が拳を交える。中村由樹(輪島功一スポーツ)と峯田光(帝拳)の対戦だ。

不登校からリングへ――中村由樹

 173cmの長身で、歯切れのいい攻防からシャープな右を打ち込む20歳の中村は、かつて不登校だった少年時代を持つ。あてどなく夜の町をさまよい、未来は何も見えなかったという。ところが、「これが運命、巡り会いというものですね」。ある日、人を介して勅使河原弘晶と出会ったのだ。今やWBOアジアパシフィック・バンタム級に続き、東洋太平洋スーパーバンタム級チャンピオンとなっている勅使河原もまた、壮絶な虐待経験から這い上がった。「人間性、考え方もすべて尊敬できる」という勅使河原を追って、同じ輪島スポーツジムに入門した。そして自らの力で人生を切り開こうとしている。

 高校ボクシングの名門、駿台学園高校に進み、ボクシング部に所属した。関東大会では優勝を逃し、全国大会はケガで出場できなかった。それでも14勝(3RSC)6敗の成績を残し、卒業後は迷うことなくプロに転向した。ここまで5戦4勝(3KO)1敗。「でかい男になりたい」。だから、「東日本新人王になって、全日本でも勝って名前を売りたい」と力強く宣言した。

希望を求めて上京――峯田光

 22歳の峯田もまた挫折し、人生の目標を見失いかけたことがある。故郷・鹿児島県の高校を卒業し、そのまま勤めに出た。近い将来、正規社員として採用するという約束が果たされないまま2年。希望が見えぬまま、自分の力で人生を創ろうと考えた。つてのないまま上京。アルバイトをしながら、好きな格闘技を楽しみたいと思った。そして、どうせやるならトップ選手が集まっているところで、と帝拳ジムを選んだ。練習は厳しかったが、これが楽しくて仕方ない。「いつの間にか夢中になってしまいました」。やがてプロ入りを決意する。

 こちらも172cmのスリムな長身。ここまで4戦4勝。攻撃的な組み立てから得意の左フックを炸裂させて、2戦目、3戦目と初回TKO勝ち。準決勝では「ちょっと有頂天になっていたんですかね」と苦しい判定勝ちにとどまったが、それもいい経験になったことだろう。名門中の名門だけに、帝拳ジムにはアマチュア出身のエリートも多い。けれど、望みの高さは誰にも負けないつもり。「伊藤雅雪選手(WBO世界スーパーフェザー級チャンピオン=伴流)をお手本にしています。アマチュア経験がなくても、ここまでのことができるんだって」

 中村は「倒して勝ちます。決めるのは右ストレートです」とキリリとKO宣言。これを聞いて峯田は「言わせておきます」とにやり。おもしろい戦いになりそうだ。

文◎宮崎正博

ボクシング・マガジン編集部

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