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北極で新たな「冷戦」が勃発、繰り広げられる壮絶な軍事演習

11/4(日) 14:30配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

 2007年8月の穏やかな明るい朝のことだった。ロシアの潜水艇2艇が深さ約4300メートルの北極海海底に到達し、北極点にチタン製の国旗を立てた。劇的な効果を狙った大胆な行動であり、海底に立つロシア三色旗の画像が世界中に放送されると、たちまち西側の非難を呼んだ。

ギャラリー:北極で新たな「冷戦」、繰り広げられる軍事演習 写真16点

「今は15世紀ではありません」と、カナダのピーター・マッケイ外相(当時)は民放テレビ局CTVの番組で語った。「世界を回って旗を立てただけで、『ここは我々の領土だ』とは言えないのです」

 厳密には、マッケイ氏は正しかった。ロシアの派手な行動に法的効力はなかったからだ。一方、氏の非難にはいら立ちも交じっていた。まるで、ロシアのこの行動をカナダが先に思いつけばよかったと思っているかのようだった。2007年は当時の観測史上屈指の高温を記録し、北極圏の夏の氷原(夏の間もずっと北極点を覆う広大な浮氷)は、観測開始以来最小のレベルにまで縮んでいた。何世紀にもわたって人間の野心を挫折させてきた極地の氷海はどんどん縮小しているように見え、解けゆく雪の氷にあるのが何であれ、自分たちがその権利をもっているという象徴的な主張をロシアがうち立てたのだ。

「2007年の夏に失われた北極圏の氷は、人類史上最大のものでした。温暖化が最も進む気候モデルでさえも予測できないほどだったのです」。米南カリフォルニア大学の国際関係学助教、ジョナサン・マーコウィッツ氏は言う。「この事実にショックを受け、氷が急速に消えていることを誰もが突如として理解し、行動を起こそうと決めた国がいくつかありました」

 北極の氷の融解が「衝撃的な出来事」として話題となって10年が過ぎ、現在の北極地方の状況はさらに変化している。要因は、止まらない気温の上昇、進む氷の融解、そして国際的な注目だ。北極圏に領土や領海を持つ国々のほか、この範囲に国境線のない国々までが、地球上で最新のフロンティアを利用しようと先を争っている。企業家、投機者、政治家たちがみな北に目を向けている。氷が減れば、この地域に豊富にある水産物、ガス、石油、その他の鉱物資源を入手しやすくなると考えているのだ。

「北極海に関する予測は誤っていました」と話すのは、米シンクタンク、ウィルソン・センターの極地研究事業「ポーラー・イニシアティブ」のディレクター、マイケル・スフレガ氏だ。「そして今、私たちの目の前で、現在進行形で海が開けています。過去に例のないことです」

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