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民泊OKだったのに、家主がまさかの裏切り。ドツボへ~金欠フリーライター、民泊を始める(2)

2018/11/4(日) 15:40配信

HARBOR BUSINESS Online

◆奈落の底からさらにドツボへ

 前回、観光庁の禁じ手・違法行為により自宅にあるエアビー封鎖の憂き目にあった筆者。

⇒【画像】者が運営していたエアビーは年間2万ドル程度の利益が上がっていた

 友人に浅草近くに所有するマンションの一室を民泊に提供している男がいるが、聞いてみると彼のところもやられたという。色々情報交換してみると、そんな登録作業も荒川区では異様に厳しく、墨田区はユルユルなのだという。

 ここで、筆者が民泊を行っていた物件を簡単に紹介しておきたい。

 場所は東京メトロ日比谷線の三ノ輪駅と南千住駅のちょうど中間地点である。すなわち、南千住にあるつくばエクスプレスを活用すれば浅草にも一駅で出られることになる。

 物件は昭和28年築のよくいえば古民家、悪く言えばボロ家だ。筆者が民泊を前提に借りた2015年6月の時点で、二年間空き家だった。当然家主としては埋めたかったはずだ。そこで管理会社を通じて民泊を行うことを伝え、承諾を得た。

 当然、賃貸契約書の中に「転貸禁止」の一項は入っていなかった。間取りは二階建ての3DKで、一階に台所と風呂、そして筆者の寝室六畳一間の和室があり、二階には六畳の洋間と八畳の和室、そしてバルコニー及びトイレがついていた。筆者はこの二階の二部屋を民泊用にして貸し出していた。

 お金の話をすると、だいたい八畳の和室は一晩40ドルくらい、六畳の洋間は30ドルくらいで貸すことが多かった。ただ、花見の時期は60~70ドルでも埋まった。

 また直前三日前くらいになると20ドル代前半にすることもあった。この宿泊代とは別に清掃料金として40ドルをもらい、清掃業者に来てもらうようにしていた。こうして二部屋で年間約二万ドルの売り上げがあがっていたことになる。もちろん、この収入は確定申告に入れてある。

 この借家の家賃は12万円、そして水道光熱費やネット接続代などがかかるわけだが、この売り上げでそれらを賄うことが可能であることがおわかりだろう。

 筆者の友人でも誤解している人がまだ多いのだが、「タカ大丸は原稿料で食っている」わけではないのだ。「民泊で最低限の生活の糧を確保し、その上で書きたいことだけを書いて生きている」のである。

 前回記事の中で、「反韓ヘイト本を出版社が発売し、ベストセラーになる構造」について解説したが、その点、筆者はそういう良心に反する仕事をする必要がない。もちろん、ゴーストライターもいない。だから、タカ大丸名義で世に出ている原稿は正真正銘筆者の手によるもので、かつ筆者が本当にそう思っている、真意に基づくものだと思っていただいてかまわない。

 さて話を本題に戻すが、とにかく今できることとしてはとにかく登録作業を急ぐしかない。しかも定例のバンコクでの歯科検診も控えている。気は焦るばかりだった。

 戸籍謄本が届くまでどのみち一週間かそこらはかかるわけだが、可能な限り必要書類を揃えて再び台東区の保健所に行った。すると、担当者がこう言った。

「借家で民泊事業をされる場合は、家主さんの承諾の一筆が必要です」

「何か形式等はありますか?」

 筆者が聞くと、「特にありません。便せん一枚に承諾の旨を書いて捺印があればそれで充分です」という。

 一つ気になることがあった。管理会社の反応である。

 当時の家の管理会社は徒歩五分程度のところにあり、駅に向かうときには必ず通りかかる。なのでよく挨拶をしたり、何か不具合があれば相談することもあった。

 そこでこの管理会社に「家主の一筆」の話をすると、態度が急変した。

「なんですかそれは? 私自身、“民泊”という言葉自体を聞くようになったのがこの一年くらいの話で、大丸さん宅でそんなことをしていたとは知りませんでした。契約違反です」

 目が点になった、とはこのことである。

◆予想外の、家主による手のひら返しをくらい途方にくれる

 当たり前だが、筆者はこの家なら民泊ができるから借りたのである。それで二年間空き家だった家を再生させ、毎月家賃を払い続けている。

 その時入ってもらった不動産業者にも確認したが、もちろん民泊OKということだった。目の前にある物件も借りて運用してくれ、と家主が管理会社を通じて申し出てきたくらいなのである(このことは著書「貧困脱出マニュアル」にも明記している)。

 管理会社がそういう態度なら、家主に直談判するしかない。そこで契約書に記載されている横浜在住の家主に電話をかけた。約三年間住んでいるのに話すのは初めてだった。

「今まで自宅で民泊事業をやってきて、今回正式な認可をとるために家主さんのハンコが必要ということなので電話を差し上げた次第ですが……」

 そのとき、家主は衝撃の返答をした。

「今までは黙認という形でしたからそれでもよかったですが、もし私が捺印するとこれは公認したということになってしまいます。公認してしまったら何か問題が発生した時に責任を負わせられますから、それはイヤです」

 土壇場で裏切られたということだ。もはや家主との信頼関係は完全に崩壊した。こうなったら、出るしかない。でも、どこへ?

 筆者の家は結構な人気物件で、6月15日から八月終わりまで予約が埋まっていた。立地が良かったからかホストの人柄がよかったからかはここでは論じないが、とにかく直近の予約に対応できる体制を作らなければならない。

 サンフランシスコにあるAirbnbのカスタマーサービスに問い合わせた。今後の予約はどうなるのか?「日本の法律に従い、6月14日までの予約はそのままで、6月15日以降の予約は正式認可がない限り自動的にキャンセルとなります」

 直近で予約している人たちには個別にメッセージを入れた。中にはそのままキャンセルをする人もいた。もちろんそれを責めることはできない。悪いのは日本政府である。

 今までの人生で、これほどまでに日本人であることが恥ずかしかったことはなかった。出発一週間前に宿泊先が突然キャンセルになるとはこんな迷惑な話もない。これで「観光立国」などできるはずがない。観光庁は、東京五輪で、きっと路上に訪日外国人を泊めて「お・も・て・な・し」をするつもりなのだろう。

 このまま筆者は民泊をたたむしかないのか……そんなときに、筆者の運命を大きく変えるメッセージが届いた。それは、心身共に弱り果てていた筆者を救ったのだった(続く)。

【タカ大丸】

 ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。2015年3月発売の『ジョコビッチの生まれ変わる食事』は15万部を突破し、現在新装版が発売。最新の訳書に「ナダル・ノート すべては訓練次第」(東邦出版)。10月に初の単著『貧困脱出マニュアル』(飛鳥新社)を上梓。 雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日「たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。

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最終更新:2018/11/7(水) 18:25
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