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ヒットを生む秘訣は要素の掛け算 『億男』の川村元気

11/6(火) 7:47配信

NIKKEI STYLE

 日本映画の歴代興行収入2位となった『君の名は。』をはじめ、『告白』『悪人』『モテキ』など、数々の大ヒットを放ってきた映画プロデューサー・川村元気氏。同時にベストセラー作家の顔も持つ川村氏に、ヒット作を生む秘訣を聞いた。

 川村氏は、2012年に『世界から猫が消えたなら』で小説家デビュー。140万部超えのベストセラーとなり、映画化もされてヒットした。この10月には小説第2作『億男』が大友啓史監督(『るろうに剣心』)のメガホンで映画化された。宝くじで当たった3億円が、無二の親友と消えてしまった男の物語だ。
 「『世界から猫が消えたなら』は、映画や電話、時計などが消えていく話。その時に、『世界からお金が消えたなら』という章を書こうかな、と思ったんです。お金が消えたら、僕たちにとってお金がどういう存在なのか、相対的に分かってくるだろうなと思って。そしてお金について調べ始めたら、偉人たちの金言がたくさん出てきて、これがとても面白い。それに、映画業界にいると億万長者と時折出会うのですが、『この人たち、全然幸せそうじゃないな』と思うことが多くて気になっていたんです。それで、『お金だけで長編が書けるんじゃないか』と、1作目を書き終えてから取り組みました。

 まず100人くらいの億万長者に取材したんですけど、その人たちの生き方や発言が、独特の価値観で面白かった。一晩で500万円使うようなお金持ちのパーティーに行ったり、怪しいマネーセミナーに参加したりもしました。お金の重さや大きさを測ったり、あえて1万円札を破いてみたりもしました。そうやって『お金と幸せって何だろう』と、自分なりにとことん考えて、答えを見つけるように書いていきました。

 今回の映画化は、『寄生獣』(14年)でご一緒したROBOTの守屋(圭一郎)プロデューサーからお話をいただいて、大友監督も守屋さんからのご提案でした。僕は大友さんが演出したマネートレードを描いたドラマ『ハゲタカ』(07年)が大好きで、そこでお金について散々考えたであろう大友監督なら、この小説を映像化できるんじゃないかと思いました。

 大友監督にお伝えしたのは、『マルサの女』(1987年)や『スラムドッグ$ミリオネア』(09年)みたいな活劇にしてほしいということ。完成した映画は冒頭からアグレッシブだし、キャラクターがみんな濃くて、かなり活劇になったと思います(笑)。キャストも素晴らしく、『映画はやっぱり俳優の肉体性だ』と改めて自分が映画を作る時の指標になりましたね。

 常々小説では映画では表現できないことを書きたいと思っているので、自分ではどう映像化していいのか分からない。だから『世界から猫が消えたなら』も『億男』も映画化のときは信頼できる方にお任せしました。でも2作、原作者として関わることで『なるほど』と発見することもあり、次以降は、思い切って踏み込んでやってみるのもアリなのかなと思っています」

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最終更新:11/6(火) 12:15
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