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ケパ・アリサバラガ。チェルシーの戦術クオリティをも左右するGK

2018/11/7(水) 12:01配信

footballista

文 山野陽嗣(元U-20ホンジュラス代表GKコーチ)
編集 澤山大輔

注目はミドルパスの精度と、メンタルの強さ

 マウリツィオ・サッリの戦術を遂行する上で欠かすことのできない、GKからのビルドアップ。その役割を高次元で果たすのが、同じく今季からチェルシーに「GK史上最高額」の移籍金8000万ユーロ(約104億円)で新加入した、ケパ・アリサバラガだ。

 利き足である右足のキック精度が高いのはもちろん、左足の精度も非常に高い。ロングパスやショートパスの正確性のみならず、特に注目したいのはミドルパスの精密さだ。

 ショートパスでCBやMFに繋ぐパスコースを相手に封じられても、正確無比のミドルパスでSBへと展開し、状況を打開できる。ケパは、これを左右両足で遜色なく行うのだ。

 流れの中からだけではない。私が驚いたのはゴールキックからのミドルパス。相手はパスコースを予測して守備陣形を整えており、もし数cmでもキックがずれればカットされ、失点のリスクがある中でピンポイントのミドルパスを通してみせる。このレベルの試合で、それを平然とやってのけるメンタルの強さにも脱帽だ。

 パスの前段階のサポート、そしてバックパスのコントロールの質も高い。バックパスを受ける「前」には逆サイドの状況まで把握できており、「次の選択肢」を想定したファーストタッチから、迅速に味方へパスを供給する。どちらのサイドでボールを受けても、左右両足で正確なコントロールとキックができるので、円滑にビルドアップを遂行できる。

 自陣ペナルティエリア内で相手からプレッシャーを受けている状況でも、ケパがゴールを空けてボールサイドに寄りサポート、ビルドアップすることも多い。ミスが起きた場合は即失点してしまう危険もあるが、こうしたサッリの戦術を可能にするのもケパの存在があってこそだ。

 サッリ率いる現在のチェルシーにおいて、ケパの存在はGKとして「失点を防ぐ」という枠を超越し、戦術のクオリティそのものにまで影響を与えていることがわかる。そう考えると、チェルシーがGK史上最高額の移籍金を払ってまでケパを獲得したのも、うなずける。

 チェルシーの懸念としては、何らかのアクシデントでケパが不在となった時、戦術のクオリティを下げることなく、他のGKがケパの穴を埋められるのか?という点だ。それくらいサッリ・チェルシーにおいて、ケパの存在は大きなものとなっているのだ。

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最終更新:2018/11/7(水) 12:01
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