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「東京いいことない」 地方移住セミナーが盛況 なぜ20~30代は地方都市を目指す?

11/7(水) 8:11配信

NIKKEI STYLE

■高橋公・ふるさと回帰支援センター理事長「東京にいてもいいことはあまりないと考える若者が増えた」

 最近の地方移住の状況について、移住支援の認定NPO法人ふるさと回帰支援センターの高橋公理事長に聞きました。

 ――地方移住の相談が急増しています。

 「東日本大震災で田舎暮らしへの関心が高まり、政府が地方創生を始めた後の15年から一気に増えた。今年は月間の利用者数が4000人を超えることも珍しくなく、年間4万人を超える見通しだ。10年前は7割が50代以上だったが、17年は20代以下が21%、30代は29%と30代までで半数を占めている。シニア層は今も一定数いるが、増えている分はほとんどが若者だ」

 「やはり価値観が変わってきたのだと思う。ゆとり教育の世代が30代にさしかかっている。非正規労働や派遣社員が働く人の6割を占め、貧富の格差が拡大する中、『東京にいてもいいことはあまりない』と考える若者が増えているのではないか。東京は保育所も足りず、地方のゆったりした環境で育てたいという子育て世帯も多い」

 ――郷里に帰るUターン、郷里に近い地方都市に戻るJターン、郷里と異なる地方に行くIターンに分けると傾向は見えてきますか。

 「例年、多くはIターンだが、最近、増えているのがUターンだ。13年は2割だったが、ここ3年ほど3割を超えている。年代別にみると20代にUターンが多く、17年は4割になった。東京に出て来て努力したが、あまり報われていないという若者の思いがこの辺りにも出ているのではないか」

 「若者の移住希望者が増えた結果、移住先を決める条件の優先順位も変わってきている。かつてはシニア好みの悠々自適な生活を求めて『自然環境が良いこと』が多かったが、最近は『就労の場があること』が圧倒的に多く、17年の調査では複数回答で6割の人が優先する条件に挙げた」

 ――移住希望地ランキングはここ数年、長野と山梨が交互にトップになっています。

 「長野県には77市町村あるが、そのうち40以上の市町村が入れ代わり立ち代わりセミナーを開いている。最近、人気が出ているのが新潟だ。3年前から相談員を置いて力を入れ始め、Uターンが多いのが特徴だ。富山も今年、予算と相談員を増やしており、上位に入るかもしれない。予算をかければ結果は出る。県がやる気を見せれば市町村も本気になって移住者を受け入れる受け皿づくりをする」

 「シニア世代は山梨や長野、静岡など首都圏に近いところを希望する人が多い。親の介護など何かあったときにすぐに戻れるからだろう。一方、若者は『こういう仕事や暮らしをしたい』というこだわりが強く、それに合うところなら距離に関係なく、ポンと飛んでいく傾向がある」

 ――相談が実際の移住に結びつくのはどのくらいですか。

 「そこは各市町村が把握しているが、国はまとめた数字を持っていない。これだけ予算を使っているのだから、政策効果をしっかり検証することが必要だろう」
(編集委員 斉藤徹弥)

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最終更新:11/7(水) 8:11
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