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風間八宏監督に北健一郎が体当たり取材。とんでもないメンタルの持ち主だった

2018/11/8(木) 11:03配信

footballista

―― 風間監督がグランパスの小西社長と対談されていたときに「マーケットイン」と「プロダクトアウト」という話が出ていたじゃないですか。改めて言うと「マーケットイン」というのは市場を調査してそのために商品を開発するというもので、「プロダクトアウト」は自分たちがこういうものがあったら喜ばれるんじゃないかという発想から商品を作っていく。それで小西社長は「風間監督のサッカーはプロダクトアウトだ」という話をされていました。

「俺は、『わからなくていい』と思っているから」


―― え?

「一番つまらないのは予定調和。一番良いのは『わからなくて面白い』。『わかっていて面白い』というのは、そこまでじゃない。簡単に理解できないからこそ『なんだかわからないけど、また行こうかな』となるし、そうやってスタジアムの人数が多くなれば自分たちの力になる。

 同じことをずっとやっていたら、見る人にも飽きられてしまう。どんどん、どんどん変わっていかなければいけない。なにかのパターンを成熟させるのではなくて、新しいものに変化していかなければいけないと思っている」


―― サグラダ・ファミリアみたいですね。100年経っても未完成なんだけど、それを見るために世界中からお客さんがやって来る……。

「自分の身内がいるわけでもない。自分の地元でもない。だけど、なんだか面白そうだから見に行ってみよう。そういう人を巻き込んでいくことも4万人のスタジアムを満員にするためには大切だと思っている」

■プロセスが決まっていれば負けてもやることは変わらない

―― 今回インタビューするにあたって、風間監督の過去のインタビューとかもいろいろ読み返していたんですね。それで川崎フロンターレの監督に就任されるときに、そういう話はそこまでされていなかったんですよ。どちらかといえば、プレースタイルに関する話が多かった。ただグランパスでは、町づくりじゃないですけど、そういうところにまで視野を広げているという印象を受けました。

「グランパスの場合はフロンターレでの仕事を評価してオファーをしてくれたし、就任する前からどういう風にしていきたいのかを話し合う時間もあったからね。そこのすり合わせができていたのは一番大きかったんじゃないかと思ってる」


―― 今でこそ、グランパスは降格圏内を脱出しましたけど、今シーズンは8連敗で最下位になったり、J2にいた昨シーズンも「解任か?」と言われたりもしたじゃないですか。その時はどう受け止めていたんでしょうか。

「何も変わらないね」


―― それは強がっているとかではなく?

「もちろん。なぜかというと、自分たちがやろうとしていることは、勝った負けたで変わるものではないから。勝ったとしても、負けたとしても、今日の試合以上のプレーをするために積み上げていく。それは何も変わらない」


―― 風間監督は「修正はない」とよく言われるじゃないですか。1-3で完敗した古巣の川崎フロンターレ戦の後も、「もっとシンプルにやっておけばよかった」とか普通の監督なら言いますけど「もっとうまく回せればよかった」とかそういう話しかしないじゃないですか。それがグランパスというチーム全体に浸透している気がします。

「人間は弱気になったら過去を見るよね。でも、強気でいれば前しか見ないんだよ。その強気ってなにで生まれるかと言ったら、根拠がなければ生まれないから。その根拠を毎日毎日作っていくということだよね。その根拠を作ることに全力を注がなければいけない。

 次の試合に勝つために、何をするか。いろんなやり方があると思うけど、それは『自分たちがもっと強くなればいい』と思うのか『この前良くなかったことを直して勝とう』、あるいは『相手に全部合わせて良さを消そう』とするのか。何を選ぶかだと思う。

 そうするとトレーニングも変わるし、人の意識が変わると同じメニューでも内容が全く変わるよね。だからそういう意味では、自分たちは修正型のチームではなくて、1個ずつ覚えていかなければいけない。

 なにを覚えていくかと言ったらまだ知らないこと、まだできないこと。できることを1回できたら10回できるようになる。それが自分たちの練習だと思っている」


―― でも、サッカー監督というのは「結果が出なければ職を失うかもしれない」というリスクは常に抱えているわけじゃないですか。職を失うことへの怖さはないんですか。

「ないね。そんなことを考えるよりも、本当に今やるべきことをすべてやったのかどうか。それを考えることが大事だと思っている」


―― とんでもなくメンタルが強いですね……。

「どんな仕事でも必ず終わりや転機が来る。それは明日かもしれないし、3年後かもしれないけど、必ずその時期は来る。だからこそ1日1日何をするのかが大事で、そこだけに向き合ってやっていきたい」

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最終更新:2018/11/8(木) 11:03
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