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地上波とネットテレビの「深刻な断絶」~歴史を振り返ってみると…

11/8(木) 11:00配信

現代ビジネス

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連日のようにパワハラやセクハラがニュースを騒がせている2018年。激変するメディアの世界でも問題が噴出している。どのような問題が、なぜ、起きているのか。メディア論を専門にする立命館大学准教授・飯田豊氏が、「地上波テレビとインターネット動画の関係史」という観点から論じる。
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地上波テレビとネットテレビの乖離

 Abema TV「極楽とんぼKAKERU TV」に生出演した女性がハラスメントを受けたとして、2018年9月、BuzzFeed Japanが「Abemaが非公開にした「くそババア」罵倒映像 ―過激化するネットテレビの2つの問題」と題する記事を公開しました。

 その翌日には告発した女性自身がnoteに手記を公開し、事態の経緯を詳しく説明したことも相まって、ネット上で大きな反響がありました。

 Abema TVは、テレビ朝日とサイバーエージェントが共同運営するインターネットテレビ(以下、ネットテレビ)です。

 ハラスメントの具体的な内容については説明を省略しますが、BuzzFeed Japanの記事では、ネットテレビがBPO(放送倫理・番組向上機構)の管轄外であり、第三者機関からの監視や規制を一切受けないことの是非が論点になっています。

 さらに記事では、この騒動の伏線として、2013年8月にフジテレビで放送された「生爆烈お父さん27時間テレビスペシャル!!」に言及しています。

 この番組内で、加藤浩次さんが女性アイドルグループのメンバーにジャイアントスイングを掛けたうえ、頭部を踏みつけるという行為が問題視されました。

 BPO青少年委員会は、視聴者意見を踏まえて審議入りを決定。その結果、同年10月に「委員会の考え」が公表され、「出演者の身体に加えられる暴力や危険行為」、「女性アイドルや女性芸人に対する性的な際どい演出」、「地上波の公共性」という三点に対する、制作者の認識の欠如が厳しく批判されました。

 ところが1年後の2014年8月、「めちゃ×2イケてるッ!」(1996~2018年、フジテレビ/以下、「めちゃイケ」)から派生したネットテレビ局「ゼロテレビ」で配信された「24時間ゼロテレビ めちゃ×2なが~~~~~くユルんでるッ!」のなかで、岡村隆史さんの「テレビじゃないから、これネットだから、BPO関係ない」という煽りを受けて、加藤さんが再び、同様の行為をおこないました。

 近年では「KAKERU TV」のように、テレビを主戦場とする芸能人や制作者が、地上波では社会的に容認されなくなった過激な企画や演出を、ネットテレビで実践するという展開が散見されますが、その先例のひとつといえる象徴的な出来事でした。

 もっとも、岡村さんは当時、「ゼロテレビ」のねらいについて、インタビューのなかで次のように語っています。

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これ真面目なこと言いますけれども、こっからテレビにお客さんたちを引き戻すためにやってますから。『めちゃイケ』に帰ってくるように、地上波に帰ってくるようにっていう。「もうテレビおもんなくなった」とかって言うてる人達が[…]こんなんやってるんやったら『めちゃイケ』も観てみよか? って戻ってきてくれるように。(『Quick Japan』vol.113、2014年、22ページ)
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 地上波とネットのあいだを架橋しようという理念に筆者も賛同する反面、多くのお笑い芸人が参入しているネットテレビの現実は、地上波との差異を過度に強調するあまり、逆に取り返しがつかない断絶を生んでいるような気がしてなりません。

 そこで以下では、テレビとネットの関係史を補助線にしながら、この問題の地層を掘り起こしてみたいと思います。

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最終更新:11/8(木) 11:00
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