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巨人は札束攻勢だけでは強いチームを作れないことに気づくべきだ/廣岡達朗コラム

11/9(金) 11:01配信

週刊ベースボールONLINE

「終身雇用」は堕落を招く

 巨人の構造的な問題、その根源にあるのは、長嶋茂雄を終身名誉監督にしてしまったことだ。長嶋のプロ野球への貢献は当然認めている。だが、私はOBとして言わせてもらう。長嶋は自ら肩書を外すべきだ。「終身雇用」は堕落を招く。その安住と呪縛から長嶋が率先して解き放たれなければ巨人は何も変わらない。

 第2次長嶋政権時代、FAで獲得した清原和博が調子を崩したとき、いまこそ二軍に落として、巨人とはこうだということを勉強させろと長嶋本人に助言した覚えがある。返ってきたのは「三顧の礼を尽くして堤さん(義明オーナー=当時)からいただいた清原を二軍へやるわけにはいきません」という言葉だった。

 清原はああ見えて気が小さい。純粋な男でもある。だからこそ「うまい」「ヘタクソ」と正面切って指導する人間が彼には必要だった。われわれの時代なら川上哲治さん、別所毅彦さん。別所さんなど私の守備を見て「あんなヘタなショートでは勝てない」と平気で罵倒した。その結果、私には反骨心が生まれた。清原にも川上さん、別所さんのような人がいたら、間違った道へと進むこともなかった。

 長嶋監督時代に始まった、他球団で活躍したFA選手、外国人に依存した編成戦略は現在も続いている。

 外国人というのは、そのよしあしはともかく、日本に稼ぎにきているのが実情だ。ところが、今季のゲレーロは結局、成績を残せなかった。中日では打ったかもしれないが、噂によると不平不満ばかり多くて中日でも持て余していたという。そういう調査もせずに、ホームラン王(17年、35本塁打)という肩書だけで獲ってしまう。分かっていない。

 メジャーのように野球を命懸けでやっている世界では、大物FAというのは仮に3割打者でも移籍先のチームによい影響を及ぼさない人間では意味がない。つまりFA、外国人を問わず、チームを強くするためにはこうすべきだとの信念で組織に革命を起こす存在のみを獲るべきなのだ。

 400勝投手の金田正一は、FAの先駆けでもある「B級10年制度」を行使して1965年に国鉄から巨人に移籍した。当時の巨人の投手陣はその一挙手一投足を注視していた。金田は一生懸命に走り、真摯に野球に取り組んだ。その空気を間近で感じたら俺たちもやらなければいけないと周囲の意識も高まる。チームに影響を及ぼすとは、そういうことだ。

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