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ビールを避けても痛風は予防できない

11/9(金) 12:20配信

Wedge

痛風は「おじさん=中高年の男性」に多い病気だが、近年、若い男性や女性にも増えてきているようだ。そういえば、筆者の周囲でもまだ30歳代なのに「痛風を気にしている」というビジネスパーソンにたびたび出会うようになった。その予防策としては「ビールを避けるようにしている」という人が多い。その対策は本当に正しいのだろうか?

ビールのプリン体はそれほど多いわけではない

痛風の本態(本当の姿)は、血液中の尿酸量が基準を超えて増えている状態=高尿酸血症である。高尿酸血症の状態が長期間続くと、血液中に尿酸の結晶が生じ、これが体の各部を傷害してさまざまな疾病を引き起こす。

痛風の直接的な原因となる尿酸はどこからくるのだろうか? 尿酸は、体内でプリン体が代謝された(分解・利用された)結果に生ずる。そのため、痛風を気にする人はこのプリン体にビクビクしているはず。

プリン体というのは、ほとんどの細胞(の中の核酸)に存在している物質で、うま味の元ともいわれている(プリン体が多いといわれている物においしい物が多いのもうなずける)。細胞分裂に深く関わる物質で、分裂を盛んに行なうレバー類や魚卵類にはプリン体が多く含まれる。

多くの人は「プリン体が多い」といってビールを気にするが、ビールはそれほど多くのプリン体を含んでいるわけではない。比較すると、他のアルコール飲料(ウイスキーや焼酎や日本酒やワインなど)よりはビールのほうがプリン体をやや多く含むのだが、痛風の主たる原因となるほどの量ではない。逆にいうと、痛風を気にする人が、ビールを飲む代わりに「プリン体ゼロの発泡酒」や先ほどあげた「他のアルコール飲料」を飲んだとしても、意味のあるような効果は生じない。アルコール飲料から摂取するプリン体の量よりも、私たちの細胞の中にあるプリン体の量のほうがはるかに多いからだ。

同じことは、飲料だけではなく、食べ物のほうにもいえる。飲み会で「おつまみとしてピッタリ」の魚卵類やレバー類だけを避けても、体内のプリン大量にそれほど多くの影響を与えはしない(それだけを大量に食べれば別だが・・・・)。

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最終更新:11/9(金) 12:20
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