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キレたら終わり サイバー藤田社長、麻雀に学ぶ経営術

11/9(金) 17:40配信

NIKKEI STYLE

麻雀に注目が集まっている。健康で健全なスポーツとしての麻雀の普及を目指し、プロリーグ「Mリーグ」が10月に開幕した。動画配信サービスのパラビでは福本伸行氏の人気麻雀漫画「天 天和通りの快男児」実写版を、テレビ放送に先駆けて全話ネット配信する試みが話題になっている。業界全体で盛り上がりをみせる中、Mリーグの初代チェアマンであり、プロを目指したほどの腕前を持つサイバーエージェント社長の藤田晋氏に麻雀から学んだビジネスの極意や動画配信サービスの未来について話を聞いた。


――(ご自身の)麻雀の打ち方は、客観的に見ると、どういうスタイルなのでしょう。

「麻雀の中には、技術者のような仕事と、全体のゲーム運びなどを決めていく経営者のような仕事があると思うんですが、一人で両方やらなくてはいけない。それでいうと、僕は明らかに経営者寄りなので、局面を俯瞰(ふかん)しながら冷静に決断を下していく、というスタイルになると思いますね」

――麻雀というものが「勝負強さ」を育てることに役立っていると思いますか?

「それは間違いないと思います。麻雀以外でそういうことを学ぶ場がないんですよね。例えば、度胸や勇気が試される局面で、忍耐強く我慢する、という状況が麻雀の中では繰り返し現れる。そんな環境って、普通ないですから」

――会社で大切な意思決定をするときに、麻雀のように、ふっと打ちすじを考えたりするものなのでしょうか?

「麻雀に置き換えることはさすがにないですが、厳しい時期にキレたら終わりとか、滅多にないチャンスに対して思い切って一歩踏み出せないとか、麻雀と似たようなことがよく起こったりはしますね」

――著書の中で、「自分のタイミングで勝負しない」という言葉が印象的でした。これまでそういった感じで意思決定されてきたのでしょうか?

「自分ではそうしてきたつもりですが、逆にそうじゃない人がよく目につくというか。市場とか、環境とかが整ってきたので、今が勝負どころというのがすじだと思うのですが、時代の変化に焦ってしまってあとがなくなり、損なタイミングで勝負している人が意外と多いんですよね。自分の都合で決めてしまうというか」

――例えば、メディアで最新技術がフィーチャーされていても、焦らず、タイミングを冷静に判断すると?

「どんなに優れた映像技術でも、誰も見ていなければどうしようもないので、見る状況になったときを見計らうとか、そういう単純なことがとても大事なんですよね。モバイルでインターネットを使えるようになったとか、あるいはスマホが普及してきたなとか、タイミングの見極めが的確にできればいいわけなんですが、多くの方がそこ以外の要素に目を奪われてしまうので、心が揺れてしまうんですよね」

――著書の中に出てくる「人生は配牌(はいぱい)だと思え」という言葉がありましたが、周りが焦っている中でも、現状を受け入れ、好機を待つも大事だということですか?

「麻雀は忍耐力勝負みたいなところがありますからね。4人でやると4分の1しか上がれないし、ほかの4分の3は劣勢に立たされている気になる。それで焦って我慢できなくなってしまうという状況が多いんですが、本当はそこで歯を食いしばってがんばらなきゃいけない。そこで学ぶことも多いですし、そうしないと勝てませんからね」

――相手がチャンスを迎えたとか、わかるんですか?

「プロはみんな洞察力に優れているのでわかると思いますが、僕の場合は気配で察する場合が多いですね。逆に僕がテンパッってもいないのに、迷いなく危険牌をポンポン切っていったら、勝手にみんな降りてくれたりするんですが、そういう気配でも押し引きがある。その駆け引きがまた、面白いんですよね」

――Mリーグの手応えはいかがですか?

「熱狂的なファンも増えてきて、かなり盛り上がっています。その盛り上がりがどれだけ外に波及していくかが課題ですね。麻雀を知らない人に、いかにわかりやすく伝え、興味を持っていただくか、というところでしょうね。本当はスーパースターが出てくるのが一番うれしいですが」

――スポーツのプロリーグをかなり意識されてMリーグをつくった?

「インスポーツが注目され始め、オリンピックでも麻雀が競技として検討されている波が来たので、それを生かしてスポーツとして盛り上げていこうと考えたわけです」

――舞台演出も、スポーツのプロリーグを意識した感じになっていますよね?

「(ネットテレビ)AbemaTVでライブ配信されている対局をパブリックビューイングで、ワイワイ大勢で観る。あれが結構、盛り上がるんですよ」

――動画配信サービスの未来をどのように捉えていますか?

「かつて、ホリエモン(堀江貴文氏)が放送と通信が融合する時代が来ると言っていましたが、それは100%間違いなくて、いずれ地上波は役目を終えて、動画配信サービスの時代が来ると思います。ただ、外国資本の企業が日本でどんどん拡大していくのは、国としてどうなのかなとは思いますね。国内勢にがんばっていただいて、日本のメディアを盛り上げていっていただけたらと思いますね」
(プラスパラビ編集部、坂田正樹)
[PlusParavi(プラスパラビ) 2018年10月24日、25日付記事を再構成]

最終更新:11/9(金) 17:40
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