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日本びいきのマハティール首相、焦る中国走らす

11/9(金) 6:00配信

JBpress

 「身にあまる光栄です」

 今年の秋の叙勲で桐花大綬章を受章したことを受け、マレーシアのマハティール首相は、民族衣装、バジュ・マラユを身に纏い大綬章親授式に臨み、受章の喜びを感慨深く語った。

 これまでアジア諸国からは、インドのマンモハン・シン前首相や故リー・クアンユー、シンガポール前首相が受章している。

 アジアの指導者として、かつてライバル関係だったリー氏は没後に授与されている。日本政府はマハティール氏には生前授与することで、最大限の敬意を払ったと言えるだろう。

 7日の離日前には、皇居で天皇皇后両陛下の招待の下、夫人で医師のシティ・ハスマ氏を伴って、昼食を共にした。

 最高レベルの配慮は、安倍普三首相との首脳会談でも見られた。

 前回の記事でも言及したが、両政府は6月の首脳会談でマハティール氏から要請されていた日本からの財政支援に合意した。

 前政権から引き継いだ莫大な負債を抱え財政再建が急務になっていることから、両政府は、マレーシア政府による円建て外債(サムライ債)を2000億円、国際協力銀行の保証付きで発行する方針を確認した。

 さらに、安倍首相は、円借款による交通、教育、人材育成などの分野の援助も行う用意があることを表明した。

 記者発表では公表されなかったが、この円建てによるサムライ債は、親中のナジブ前政権時に中国から高金利で受けた債務の元利払いに活用される見通し。

 日本政府の保証付きサムライ債は、早ければ今年中にも発行される予定で、期間は10年で年率0.65%という超低利となる見通しだ(マレーシア政府筋)。

 マレーシアは、マハティール氏が前任の首相時代にも、日本政府から最長40年間の長期低利貸付(0.7%)を受けていた。

 サムライ債は、円建ての中では利回りが高く、諸外国の政府や企業が調達した円をドルに戻すコスト面でも有利だ。

 マレーシアの財政再建の救世主になると大きな期待が寄せられており、マハティール氏も「マレーシアの財政問題解決の策を提案いただき感謝している」と安倍氏に謝意を表明した。

 日本円にして27兆円を超える債務を抱える国に、ある意味、「大判振る舞い」を表明した日本政府。

 その狙いは「中国からの借金を日本の財政支援で返済することで、マレーシアの『中国による債務トラップ』の箍を外し、『中国による依存度』を軽減するところにある」(政冶アナリスト)。

 それだけでなく、「国際的に信用評価が高い“サムライ支援(ジャパンマネー)”で中国を牽制するとともに、マレーシアだけでなく、地域への日本の覇権を高めることだ」と見られる。

 アジアへの中国の覇権阻止があるが、もう1つの背景は、トランプ政権後の米国のアジア軽視による影響力激減と、アジア域内でのリーダーシップの欠如がある。

 日本にとってはASEAN(東南アジア諸国連合)を見ただけでも、「マハティール首相以外、強いリーダーシップを持ち、域内の指導者に影響力を持つ政治家が現在いないこと」(アジア政冶史専門家)が大きい。

 安倍首相も「ルック・イースト政策で日本の経済発展を模範に国の発展を引っ張った、36年間という長年の友人であるマハティール首相に深い敬意を示したい」と語る。

 あらゆる面での支援をスタンバイさせることで、日本の影響力を拡大したい狙いがある。

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最終更新:11/9(金) 7:45
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