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元ヤクザ、生活保護、日雇い…「最後の魔境」あいりん地区を往く

11/9(金) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

● 大阪の魔境 あいりん地区

 かつては釜ヶ崎とよばれ、いまは、あいりん地区とよばれるドヤ街が大阪・西成にある。

 その中心にある三角公園から北東方向を撮影したのが本書『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』表紙の写真だ。右奥にひときわ高くそびえているのが地上300メートル、日本一の高さを誇るビル「あべのハルカス」。左側に壁のように見えるが大阪市立大学医学部附属病院、そのすぐ向こう側は大阪市立天王寺動物園である。

 土地勘のない人にもわかってもらえるだろう。あいりん地区は多くの市民が憩う場所から目と鼻の先にある街だ。しかし、大阪市民の多くは、その名を知っていても、足を踏み入れたことはないはずだ。わたしもその一人である。この本を読めばわかる、ここは大阪の魔境なのだ。

 東京でいえば山谷にあたるのだろうか。しかし、筑波大学を7年かけて卒業し、就職しそこねたライター志望の國友クンは、東京からわざわざ西成へ取材に遣わされたのだ。このような場所はもう西成にしか残っていないのかもしれない。ちなみに、駆け出しライターの國友クン、卒論が段ボール村であったことからの大抜擢(?)である。

● 10日間の飯場生活から 飛田新地へ

 取材予定は1ヵ月。まずは一泊1200円の簡易宿泊所に滞在しての足慣らしから始まった。あいりんセンターというハローワークに出向く間にも、街をあるけば「君さ、福島へ行ってみない」と誘われたり、「仕事ができへん奴はすぐに殺される」という噂のA建設からスカウトをうけたりする。さすが、聞きしにまさる場所である。

 そんな情報収集だけではダメだ。いいルポにするには、やはり飯場生活を経験しないとお話にならない。國友クンは、多くの求人の中でたった一社だけ健康保険欄に○がついているという理由から、S建設で働くことにする。この界隈では大手だが、どうにもヤクザのにおいが濃厚に漂う会社である。

 日雇い労働と俗にいうが、一日限りの現金型と、何日間か続ける契約型があるそうだ。契約型の場合は、まとまった日数を飯場に住み込んでの建築現場での労働である。國友クンはちょっと迷ったけれど、10日間の飯場生活に挑戦する。仕事はビルの解体。そこは、厳然たるヒエラルキーが存在する、命がけの職場だった。

 何も資格がない新参者の國友クンはもちろん最下層の土工だ。ビル解体の廃材が、大きなトン袋につめられて、上からどんどん落とされてくる。そのトン袋のヒモをほどいてユンボ(ショベルカー)にひっかけるのが最初の仕事だった。聞き慣れない言葉だが、トン袋の正式名称はフレキシブルコンテナバッグといい、通称が示すように1トン程度の重量物を充填できる袋である。

 ガラスの破片がばんばん降り注いできてヘルメットにあたる。重機に背を向けたら命を落とす可能性があるから注意しろといわれる。じつに危険な職場だ。それどころではない、京都の建設会社で実際にあったという恐ろしい話が紹介されている。

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