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クビ覚悟から侍ジャパンへ。楽天・田中和基は独特の発想で飛躍した

11/11(日) 11:34配信

webスポルティーバ

 楽天の田中和基が見せた今シーズンのパフォーマンスは、ちょっとしたサプライズだった。

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 1年目の昨季は51試合に出場し、59打席にしか立たなかった。出番のほとんどは代走と守備要員である。そんな男が今季6月からレギュラーに定着すると、1番打者として球団生え抜き日本人では最多の18本塁打を記録。21盗塁と本来の持ち味も発揮した。

 この唐突な飛躍には誰もが驚いた。平石洋介監督の言葉が、もっともわかりやすい。

「田中が今シーズンこうなるって予想していたか? 誰も予想してなかったでしょ。我々としても『出てきてほしいな』って気持ちは当然ありましたよ。もともと足と守備力はありましたからね。でも、打つ方でもこれまでにないものを見せてくれたのは驚きでした」

 レギュラー獲得を期待されていた若手が、一躍、新人王候補に名乗りを上げている。そして、日米野球では初の侍ジャパンに選ばれ、球界トップクラスの選手である柳田悠岐、秋山翔吾らと外野陣を形成する。

 1年足らず。たったそれだけの期間で、田中が成長を遂げた背景は、侍ジャパン入りを果たした際に残した言葉に隠されている。

「何もかもが初めて。日本を代表する選手が集まるので、いろんなものを吸収したい」

 一見するとありきたりなコメントである。だが今季を振り返れば、田中はこれを忠実に守り、学び、試しながら結果を残した。

 時を遡れば、田中の探究心は野球を始めた時期から備わっていた。

 もともとは右打者だったが、小学生の頃から遊び感覚で左打ちの練習もしており、立教大4年には「上のレベルで野球をするなら、右でも左でも同じくらい打てないとダメだ」と、完全に両打ちとなった。打撃での持ち味は、右でも左でもフルスイング。その様がスカウトの目に留まり、プロの扉を開いた。

 田中は担当スカウトの沖原佳典にこう言われた。

「お前の一番いいところは右でも左でもフルスイングできるところだ。プロのピッチャーはレベルが高いけど、それだけは貫け」

 1年目から沖原の助言に従い、打席に立てば目一杯、バットを振った。だが、結果が伴わない。田中が一軍で59試合に出られたのは、50メートル最速5秒9の足と堅実な守備があったからだった。

 思い切りのいい打撃は魅力だ。ただ、それ故に粗さも目立った。二軍時代から田中を指導する栗原健太打撃コーチが説明する。

「タイミングの取り方が上手じゃなかったんです。動き出しからステップのタイミングがバラバラでね。バットを振る力は申し分ないんですけど、それができなかったからボールをしっかり見極められなかった」

 野球選手とは、たったひとつのきっかけで化けることがある。

 打者で言えば、バットを構える角度やトップの位置、足の上げ方などがそれにあたるが、田中の場合はステップだった。池山隆寛二軍監督(当時)の勧めで試したノーステップ打法が、フルスイングを身上とする田中にハマった。

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最終更新:11/11(日) 11:34
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