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「ウェイバックマシン」が本当に保存してきたもの

11/13(火) 8:11配信

WIRED.jp

図書館とインターネットなら、どちらが生き生きとしているだろう? いまや答えは一目瞭然だ。生き生きしたほうは騒がしい声に溢れ、暗くてカビくさいほうは死んでいる。でも、昔からそうだったわけじゃない。世紀末によちよち歩きだったドットコム──Pets.com、eToys.com、gazoontite.com──の「突然死」を受けて、ウェブにはお通夜状態の陰鬱な空気が漂っていた。

Twitterの出現、それは「アウェアネスの時代」の前触れだった

野火のように時々パッと光ることもあったけれど、長くは続かなかった。アマゾンやプライスライン[編註:現ブッキング・ホールディングス]でさえ、生き残れるかどうかなんて誰にもわからなかったし、実際どちらも死にかけた。

あなたが80年代から90年代に成人を迎えた人ならば、データが消滅する恐怖をよく覚えているだろう。「コンピューター」は気まぐれなものだと見なされていた。マックライトやワードで書いた期末レポートが突然消えて、血も凍る思いをした経験が誰にでもあるはずだ(随時バックアップを取るだけでなく、プリントアウトが推奨された)。

それから、世紀末のあの厳しい教訓が訪れた──経済ですら消えるのだ。ドットコム市場の崩壊によって、インターネットとは泡のようにはかないものだという印象を誰もが強くした。ネットのこうした混乱のさなかに登場したのが「ウェイバックマシン(Wayback Machine)」だ。ブルースター・カールとブルース・ギリアットが設立した非営利団体「インターネットアーカイヴ(Internet Archive)」によって、2001年の同時多発テロの数週間後にローンチされた。

インターネットに与えられた永遠の“命”

その年の秋、米国もインターネットも、なんとかその命脈を保っていた。ウェイバックマシンは、実体のないカルチャーをデジタルテープに保存するという創設者たちの初期の目的によって、一過性のインターネットに永遠の命を与えたのかもしれない。そのアーカイヴはわたしたちよりも長生きして、人類を永遠に楽しませてくれることになった。

カールとギリアットは、ウェブ利用データを収集するアレクサ・インターネット(Alexa Internet)などの企業を立ち上げ、売却し、莫大な富を築いたあとも、コミュニタリアンであることをやめなかった。ウェイバックマシンはオープンソースのLinuxで運用され、いまもウェブページのキャッシュをさまざまな頻度で保存している(これには高度なクローリング技術とインターネットへの信心が必要だ)。

その「蔵書量」は20ペタバイト超と驚異的だ。一説には、人類が有史以来生み出してきた全書物のデータ量が50ペタバイトとされる。ウェイバックマシンは、06年にデジタルテープの使用をやめたが、いまもそのウェブサイトでは「GeoCities」で作成したホームページから懐かしのロールプレイングゲームまで、お宝ページを見つけられる。ウェブという概念とその想像力が、すでに01年の時点で永久に保存されようとしていたのは驚くべきことだ。

しかしウェイバックマシンが本当に保存しているのは、インターネットの発展の核心にあるセンチメント、つまり「始まりの終わり」という感覚だ。われらがこのウェブは、いまでこそ永遠に存在し続けるように感じられるけれど、当時はもろくて不安定だった。その基盤はデジタル版の石壁と錆びたトタンに過ぎないことを、誰もが知っていた。

その意味で、ウェイバックマシンが思い出させてくれるのは、ウェブの最良のときなのだ。ウェイバックマシンのローンチ時の反応でわたしがいちばん気に入っているのは、ケンドラ・メイフィールドが『WIRED』US版に書いたコメントだ。「デジタル出版の夢が膨らみ、ドットコムブームがピークを迎えた時代にタイムスリップできることを想像してみてほしい」

「時代」? たった8年間のことなのに!

現在のウェイバックマシンは年季が入り、古くさく見える。キャッシュを読み込めないこともある。UXは最近改善されたものの、初期のウェブ並みにダサい。それでも多くの人にとって、殺伐とした世界で、ほっとできるお気に入りの場所であることに変わりはない。いまも多くのスタッフを使って同じ仕事を続けるウェイバックマシンは、ボリシェヴィキが誕生した時代に匹敵する理想主義を象徴する存在だ──つまり、情報が自由を切望していた時代(笑)、そしてその自由が人間を解放する近道だと考えられていた時代(泣)の。

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最終更新:11/13(火) 8:11
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