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堂安律が「0.01秒」の世界を会得。代表でもゾーンに入ったプレーに期待

2018/11/13(火) 18:21配信

webスポルティーバ

 フローニンゲンが2-0で勝利した「オランダ北部ダービー」から一夜明け、月曜早朝の新聞には「堂安のダービー」(全国紙『デ・テレフラーフ』)、「ロッベンを想起させるゴール」(地方紙『ダッハブラット・ファン・ヘット・ノールデン』)といった見出しが並んだ。

【写真】堂安律がビビりながら監督に迫り、信頼を得たオランダ1年目を振り返る

 11月11日に行なわれたエールディビジ第12節「フローニンゲンvsヘーレンフェーン」は、堂安律のためのダービーマッチとなった。

 ハイライトは38分に訪れる。左サイドからの低いクロスをセンターFWのミムン・マヒは中央でさばき、右サイドの堂安にパスを出した。ヘーレンフェーンは堂安のカットインを警戒して、中の守備を固める。しかし、堂安はわずかにゴールから遠ざかってシュートスペースを作り、腰のひねりを効かせながら強烈なミドルシュートを打った。

 スピード、コースは完璧。少しばかりカーブを描いたシュートは、GKワーナー・ハーンの伸ばした手を越し、ゴールネットに突き刺さった。

 堂安はフローニンゲンのベンチに向かって疾走して、コーチングスタッフ、控えの選手たちと抱き合ってスーパーゴールを喜ぶ。場内のオーロラビジョンには堂安のゴールシーンが2度リプレーで映され、2万人を超す観客はそのたびに「ほーっ」と声を出して唸った。

「あのコースは毎回、練習しています。練習後にチームメイトが手伝ってくれるんです。サブのキーパーやキーパーコーチに感謝したいゴール。試合が終わってから、全員に『ありがとう』と言いました」

 居残りでシュート練習をする堂安と、彼を助けるチームメイトやコーチ。そんな日々を共有しているからこそ、ゴール後に堂安とチームメイトたちがベンチ前でひとつになったのかもしれない。

 最初にビッグチャンスを作ったのは、ヘーレンフェーンのほうだった。だが、フローニンゲンの繰り出すジャブに、ヘーレンフェーンは徐々に受け身になってしまった。そのジャブのひとつがサミール・メミセビッチから堂安に出続けた、ビルドアップのフィードだった。

 ポゼッション時、メミセビッチはフローニンゲンの起点となる。ルックアップして堂安の姿を確認すると、ためわらずに縦パスを入れた。やがてヘーレンフェーンはふたりの間のコースを消しにかかるのだが、今度は堂安が囮(おとり)となって、メミセビッチから他のチームメイトにパスが出た。

「作り込まれたビルドアップだな」と、私は感じた。すると、堂安は「そんなことはないんです」と言って続けた。

「彼とはすごく仲がいいので(笑)、それが間違いなくピッチに表れています。センターバックからボランチにポジションを移して、俺をすごく生き生きとさせてくれている。感謝したいですね」

 たしかに以前、「メミセビッチと仲がいい」と聞いたことはあった。だが、両者のプライベートな間柄がチーム全体に好影響を及ぼし、ビルドアップのオートマティズムを生んでいたとは思いもしなかった。

 後半のフローニンゲンは試合のコントロールに務め、ヘーレンフェーンにシュート1本しか許さなかった。堂安はミドルシュートやフェイントを繰り返し、相手のマークを無力にするプレーもあったが、前半と比べれば無難にプレーをまとめていた。

 後半アディショナルタイムになると、デニー・バイス監督は観客にスタンディングオベーションを促し、堂安をベンチに下げる。「今日のマン・オブ・ザ・マッチは堂安です!」という場内アナウンスが叫ぶなか、堂安は割れんばかりの拍手を浴びながら退いた。

 前節のエクセルシオール戦(4-2でフローニンゲンの勝利)でも堂安は、相手のマークを背中でブロックしながら浮き玉を巧みにトラップし、反転しながらのボレーシュートでスーパーゴールを決めている。あの日、彼は現在のプレーの感触をこう語っていた。

「相手がどう動くか、先の先まで読めるので、余裕を持つことができている。0.01秒ぐらいの感覚だと思うんですが、言葉で表せない感じです」

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最終更新:2018/11/13(火) 18:21
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