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中間選挙後のトランプ政権で懸念される「ポピュリズム政策」の副作用

11/15(木) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 米国中間選挙は、大方の予想通り、上院は共和党が多数を維持し、下院は民主党が多数を奪還した。「ねじれ議会」のもとで、予算や新たな法案が通りにくくなるのは確かだろう。

 来年早々のUSMCA(NAFTA再交渉の帰結である新たな合意)の議会承認や、来年夏に再燃が予想される政府債務の上限問題などが、波乱含みになる事態は十分考えられる。

 だが、トランプ政権は最初の2年間で大型減税、規制緩和、通商政策の転換など、公約に掲げた主な経済政策は既にほぼ実現してしまっている。

 そもそも今後は、どのような政策が新たに打たれるかよりも、すでに打たれた政策の効果と副作用が時間とともにどう変わっていくか、それが重要な意味を持つ局面に入っていく。

 懸念されるのは、短期的な見えやすい効果を狙った減税や規制緩和、通商政策などの中長期的なリスクが高まることだ。

● 切らなくてよかった減税カード 財政政策の余地を狭める

 トランプ政権の経済政策は、減税を中心にこれまでのところ米国経済にプラスに作用してきた。

 しかし、世界景気の同時拡大という強い追い風があったことも確かである。2017年は米国のみならず、欧州も日本も経済は好調で、世界経済全体もグローバル金融危機以降で最高の年だった。

  2018年に他の主要国・地域が減速し始めた中で米国経済がむしろ加速、「一人勝ち」の様相を強めたのは確かに減税や規制緩和の効果なのだろう。

 問題は、減税や規制緩和は、短期的には経済を押し上げるとしても、それが中長期的には種々のリスクを高めていることにある。

 IMF(国際通貨基金)もトランプ政権の財政政策には批判的である。

 すでに完全雇用がほぼ達成された局面で刺激的な財政政策を打てば、景気過熱やインフレのリスクが高まる。これは、米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)にとっても悩ましい問題だ。

 グローバル化や技術革新など、インフレへの下方圧力が指摘される一方で、米国経済には人手不足、減税、関税コストの上昇など、インフレがいつ加速してもおかしくない条件もそろっている。

 ただでさえ難しい局面に差し掛かった金融政策のかじ取りを、トランプ大統領の経済政策は余計に難しいものにしてしまっているのだ。

 また、切らなくても良い時に“減税カード”を切ってしまったために、次の景気後退時に使える財政政策の余地が狭まってしまったことも問題だ。

 減税や規制緩和で設備投資が増えれば、中長期的に経済成長が高まり税収も増える、だから問題はない、というのが米国政府の言い分だが、それは一種の賭けだ。

 金融危機対応の後遺症で政府債務が高水準となっていることを考えれば、今はギャンブルを楽しむ局面ではない。

 規制緩和についても、中長期的な観点からは問題含みだ。

 グローバル金融危機の後、その教訓を踏まえつつ、各国は金融関連の規制・監督の強化で歩調を合わせてきた。しかし、トランプ政権のもとで、米国ではその流れが一部後退している。

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