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カリフォルニア山火事に出動する「囚人消防士」たち

11/20(火) 19:00配信

クーリエ・ジャポン

カリフォルニア州史上最悪の山火事「キャンプファイア」

11月8日の早朝に米カリフォルニア州の北部で発生した山火事は、州史上最悪の規模となった。現在も消火活動が続けられているが、600㎢以上に燃え広がり、80名以上の死者、1000名以上の行方不明者を出している。犠牲者の数はさらに増えることが予想されている。

「キャンプファイア」と名づけられたこの山火事の威力を、地元紙「サンフランシスコ・クロニクル」はインタラクティブマップやヴィジュアルエッセイで伝えている。

囚人たちの更生プログラム「ファイアキャンプ」

州当局によれば、約9400人の消防士たちが消火活動にあたっているが、そのうちの1500人ほどを占める「囚人消防士」について複数のメディアが取り上げている。

囚人消防士たちは、「カリフォルニア州矯正更生局(CDCR)」が運営する「コンサベーション・(ファイア)キャンプ・プログラム」から派遣される。カリフォルニア州内には44の「ファイアキャンプ」があり、約3700人の受刑者が働いている。そのうちの2600人ほどが消防活動にあたる資格をもつという。

同プログラムにはいくつか参加条件がある。刑期が5年以内であること、性犯罪や放火罪で服役している者は除外されることなどだ。



カリフォルニア州では、1946年に囚人消防士を収容するキャンプが作られて以来このプログラムが拡大した。現在、全米で最も囚人消防士に頼っているのも同州だ。

米「タイム」誌は、囚人消防士たちに関する詳細な記事のなかで、彼らがケガをする確率がプロの消防士よりも高いことを指摘している。

タイムの取材によれば、2013年6月から2018年8月のあいだに、病院での治療を必要とした囚人消防士の数は1000人以上にのぼる。囚人消防士は同じ消火活動にあたるプロの消防士より、切り傷、打撲、脱臼、骨折といったケガをおよそ4倍多く被っている。煙や粒子の吸引によるケガは8倍多い。

過去2年間で、囚人消防士3名が死亡している。

囚人消防士の作業は火事の広がりを防ぐためにやぶを切り開くことがメインだが、プロの消防士は直接消火作業にあたるため、火傷は囚人消防士より9倍多く、脱水症状などは2倍多い。

こうしたケガ以外に、山林で活動するゆえの健康被害もある。2017年7月2~5日、フレズノ郡で消火活動した198人のグループのうち10人の囚人が「バレー熱」にかかった。カリフォルニア州のある土壌に蔓延する真菌胞子を吸い込むと、肺炎や慢性的な肺感染症が引き起こされるのだ。

こうしたさまざまな高リスクがあるにもかかわらず、囚人消防士たちへの賃金は低い。ファイアキャンププログラム参加中の日当は2ドル、火事が発生し、24時間シフトで消火活動に加わる場合は、時給1ドルが別途支払われるのみだ。一方、プロ消防士の平均年収は7万3860ドル(830万円超)+諸手当だ。

米ラジオ「NPR」によれば、これは「強制労働」に等しいと批判されてもいる。

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