院内学級(※1)をご存知ですか?
難病を抱えた子どもが病院内で教育を受けられる院内学級は、閉鎖的になりがちで、同じ学年の子ども同士の交流もなかなかできません。そこで、鳥取県米子市の就将(しゅうしょう)小学校では、オリィ研究所(東京都港区)の分身ロボット「OriHime」(以下、オリヒメ)を使って、院内学級の子どもが普通学級の授業にリアルタイムで参加する取り組みを実施しています。
今回は、その導入に尽力した就将小学校の上村一也校長と、その導入を支援している「つなぐプロジェクト」の今川由紀子さんのお話を伺いました。2本立てでお送りします。
――就将小学校ではオリヒメの導入から1年経ちましたが、教室内や生徒の様子にどのような変化がありましたか。
導入当初からオリヒメは予想以上に児童に受け入れられていて、今では普通学級の子どもは当然のように慣れ親しんでいます。オリヒメはロボットでICT機器ですが、その導入は、院内学級の児童にとっても、普通学級の児童や先生方にとっても、さまざまな効果があったと思っています。
また、県外からの関心も高まってきており、学校関係者や保護者、病気を持つ子どもの家族からの問い合わせが増えました。先日は、第17回ちゅうでん教育大賞(※2)の「ちゅうでん教育大賞」を受賞し、オリヒメの現状を報告したばかりです。
昨年は1台だったオリヒメを、今年は2台に増やしています。
――オリヒメ導入の経緯と期待を教えてください。
私は、本校に着任以来、院内学級の授業の在り方について考えてきました。米子市立就将小学校は、鳥取大学医学部附属病院の院内学級を担当しています。院内学級は、入院をしていて通学ができない子どもに対して、生活のリズムが崩れがちな児童に教師が相談に乗ったり、学習が遅れないようにすることが役割です。しかし、院内学級は病院内にあることからどうしても閉鎖的な空間になってしまいますので、病弱の子どもに外部とのつながりを持てる方法をいろいろ探していました。
そうしたところ、日本財団の難病児支援(子どもサポートプロジェクト)を担当する職員から声をかけていただき、日本財団の助成先で今川由紀子さんが代表を務める「つなぐプロジェクト」のサポートで、院内学級支援のためにオリヒメを無償で貸与していただくことになりました。
病状によっては院内学級にも来られず、さらに病室からも出られないなど、子どもによって状況は違います。そういった子どもにとって、外部との触れ合いは非常に大切なことなのですが、実現するのは簡単なことではありません。しかし、オリヒメを導入して、外部との接触が可能になりました。
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