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「専業主婦の妻ありき」の海外赴任に物申す

11/21(水) 5:30配信

東洋経済オンライン

新聞記者を辞めた後、会社員と女性活躍に関する発信活動、さらに大学院生と3足のわらじを履きながらバリバリ働いてきた中野円佳さん。ところが2017年、夫の海外転勤により、思いがけず縁遠かった専業主婦生活にどっぷり浸かることに。そこから見えてきた「専業主婦」という存在、そして「専業主婦前提社会」の実態とそれへの疑問を投げ掛けます。
 1年半前、夫がシンガポール赴任となり、家族で引っ越してきた。シンガポールの場合は、自分に労働ビザがなく家族の転勤に伴う帯同ビザで来ていたとしても、雇用主にLOC(Letter Of Consent)というレターを発行してもらえれば、働くことができる。

 また今まさに私が東洋経済オンラインに書いているようなリモートでの仕事も、租税条約に基づいた税金の処理さえすれば、シンガポールにいながら手掛けることができる。

 ところが、国によってはビザの問題で配偶者が働くことができない場合もあれば、会社によって帯同家族の就労を原則禁止としているケースがある。また、国内転勤組でも、数年おきに転居が繰り返される転勤族の場合など、家族の生活を安定させるのに時間がかかるうえ、継続的な就労が見込めないことから配偶者がキャリア形成をあきらめるケースも多い。

 背景として、いまだに日本企業の「転勤」という仕組みの前提に「専業主婦がケアをすること」が組み込まれていることが見え隠れする。今回の記事ではその実態に迫ってみたい。

■帯同しながら働くことが難しい理由

 昨年、日本で人事系勉強会を定期的に開催しているある研究会に、こんな問い合わせが入った。

 「海外拠点で採用した優秀な外国人社員に日本への駐在を打診したのですが、奥様が帯同予定で、日本でも仕事を続けたいと言っています。これまでそのような前例はないのですが、他社さんはどうされているのでしょうか……」

 この企業にとっては、外国人の妻が言い出して初めて顕在化したこの問題。実は、日本人の海外転勤の場合には、とっくに起こっている。海外転勤に帯同した先で、リモートワークや現地採用などさまざまな形で何とかキャリアを継続させたいという妻は少なくない。

 ところが、筆者が取材をしていると企業側の説明は「前例がなく、原則認めていない」「禁止はできないが推奨はしていない」「自力ですべて賄うなら構わないが、そのように伝えるとそれでもやりたいという事例はこれまでにない」といったもの。

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