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民主党は「反トランプ」だけでは次期大統領選に勝てないだろう

11/23(金) 12:11配信

Wedge

 11月6日に行われた米国の中間選挙では、共和党が下院での過半数を失ったが、上院では議席を伸ばし、知事選でも共和党が数を減らしたものの全米50州の過半数を維持した。

 今回の選挙結果については、膨大な数の分析や論説・社説が出ているが、ワシントン・ポスト紙に11月7日付けで掲載された同紙コラムニストの論説のタイトル‘Democrats won the House, but Trump won the election’ (民主党は下院を勝ち取ったが選挙に勝ったのはトランプ)が、最も端的に言い表しているように思われる。同論説の「大体において、怒れる左派は拒否され、トランプが報われたのである」との結論は正しい観察であるように思われる。トランプは、選挙を受けた演説の中で、上院の議席増と下院の予想外の健闘を誇ったが、あながち誇張とも言えない。

 例えば、オバマの一期目の中間選挙と比較してみると、この時はオバマの与党民主党は両院で議席を減らした。上院で6議席、下院で63議席を失っている。今回、共和党は上院を死守し、少なくとも2議席を上積みするらしい。下院では共和党は30程度の議席を失い過半数を失うことになったが、歴史的なパターンから外れているわけではないようである。

 共和党が人事承認権を持つ上院の過半数を維持したことは重要である。また、知事選でもカギとなる州を押さえている(例えば、接戦のため再集計による混乱があり得るものの、フロリダ州)。州政府には、選挙区割りをする権限があり、選挙における再集計に関する権限もある。2020年の選挙に向けて、トランプは上院と知事選を重視する戦略をとった。それは、トランプの応援演説の行き先からも分かる。そして、トランプは、中間層のための減税を示唆したり、中国との貿易戦争に目途をつける意図があるようなことを言ったり、石油価格の高騰を抑えるために対イラン制裁に8つの国と地域に猶予を与える決定をしたり、あるいはメキシコ国境に向かう移民の行進を侵略といい立て軍の部隊を派遣したりと、恰も選挙戦だけのためにホワイトハウスがあるかのような行動を取り、激しく応援演説をして回った。

 メディアでは民主党が下院の主導権を奪回したことの意義が強調されている。すなわち、米国の民主主義の健全性を示した、憲法が規定するチェック・アンド・バランスが働いた、これによってトランプの政策の行き過ぎを阻止出来る、トランプの胡散臭い疑惑に対する調査・監視機能が強化される、などと言った主張である。しかし、これは過大評価のように響く。確かに、過去2年間、両院を共和党が支配する議会がトランプの前に殆どなす術を知らず、無力の存在であったことを考えれば改善が期待できる。しかし、せいぜい政策の停滞にとどまり、トランプに政策の転換を強いるまでには至らないように思われる。トランプには大統領令など、議会を迂回する方策もある。大衆動員で議会に対峙する手法もあろう。民主党が弾劾訴追権限を持つ下院で過半数を獲得したため弾劾訴追に持ち込むことは可能だが、判決を下す上院は共和党の手にあるので事実上不可能である。民主党は、トランプが進めるインフラ整備、保護主義的通商政策には、むしろ好意的である。ただ、2020年の大統領選が近づくにつれ、協調より対立色を出していかざるを得ないと思われる。いずれにせよ、対外政策の面では「米国第一主義」に対する抑制的な影響を期待することは出来ない。

 今回の選挙で米国の民主主義の健全性を感じることはなかった。むしろ、暗澹たる気持ちにさせられる。デマゴギーまがいの言説で人心が動くことの怖さがある。社会の分断は更に深まることになろう。他方、民主党はこのままでは駄目である。トランプに対抗出来る強力なメッセージを必要とする。反トランプだけでは次期大統領選には勝てない。前大統領のオバマを先頭に立てて選挙を戦わざるを得ないようでは勝てない。ジョー・バイデン(前副大統領)やバーニー・サンダース(2016年の有力大統領候補)でも勝てない。両者とも80歳になろうかという高齢である。トランプに対抗出来る強烈な個性の若い人材を発掘しないと勝てない。少なくとも現段階では、このままでは、2020年のトランプの再選が濃厚であると見通さざるを得ない。

岡崎研究所

最終更新:11/23(金) 12:11
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