ここから本文です

YOSHIKIの持つ“二つの色”が混ざり合い“紫”に染まった夜ーーHYDEも登場したクラシック公演2日目

11/25(日) 10:02配信

リアルサウンド

 9月に幕張メッセで行われた前代未聞の無観客ライブも記憶に新しいX JAPANのリーダーであるYOSHIKI(Dr/Pf)が11月12日、15日の2日間、YOSHIKI CLASSICALとして東京・国際フォーラム ホールAでコンサート『YOSHIKI CLASSICAL 2018 ~紫に染まった夜~ YOSHIKI with Philharmonic Orchestra』を開催した。X JAPANのドラマーとして時にドラムを破壊するほどに感情的なYOSHIKIが、それとは対照的な彼の音楽の原点であるクラシックをピアニストとしてフルオーケストラを率い、繊細で壮大な世界を描くのがこのYOSHIKI CLASSICALである。

YOSHIKIとHYDEのコラボステージ【写真】

 YOSHIKI CLASSICALとしてのステージは2017年1月の米・カーネギーホール以来1年10カ月ぶりで、12日の初日公演には世界的ソプラノ歌手であるサラ・ブライトマンをスペシャルゲストとして招き、コラボ楽曲である「Miracle」を披露した。本稿では2日目である15日の公演の模様をレポートする。

 本公演は2部制となっており、1部では2005年に行われた『愛・地球博』のイメージソングである「I’ll BE YOUR LOVE」や、ゴールデングローブ賞の公式テーマソングである「GOLDEN GLOBE THEME」など、YOSHIKIが提供した楽曲を中心に演奏された。また、映画『We Are X』の主題歌「LA VENUS」を演奏した際にX JAPANの歴史が壮絶すぎるあまり映画のオファーを断ろうとした過去、しかしその壮絶な過去を乗り越えて現在も音楽を続けているYOSHIKIやX JAPANの生き様は誰かに勇気を与えるのではないかと映画の制作を決意したこと。そして、制作の最中に過去を振り返り流した涙がYOSHIKIの心を洗い流し、未来へ向かうパワーをもらったことを明かし、過去はその先どう生きるかによって暗いものも輝かしいものに変えられるというメッセージを送った。

 クラシックのコンサートというとどうしても格式の高いイメージを持ってしまうが、YOSHIKI CLASSICALはYOSHIKI自身が楽曲への想いや当時の話を交えながら進行することもあり、終始和やかなムードで進み、すでにX JAPANのライブでも披露されている新曲「KISS THE SKY」では会場から大合唱が起こり、クラシックらしからぬオーディエンス参加型のコンサートに「みんな歌上手いね」とYOSHIKIが会場の笑いを誘うシーンも見られた。また、YOSHIKIの代表曲「FOREVER LOVE」では牧阿佐美バレヱ団のダンサーとのコラボレーションも見られ、クラシックのコンサートの概念を覆すエンターテインメント性にも驚かされた。

 1部の締めくくりに演奏された天皇陛下御即位十年の奉祝曲「ANNIVERSARY」では当時バンドが解散し、メンバーであるHIDEを亡くし、どん底だったときの最後の力を振り絞って書いた曲と振り返り、その壮絶な人生とリンクするような長調と短調の繰り返しによるスリリングでダイナミックな演奏を披露した。平成元年にX JAPAN(当時はX)としてデビューしたYOSHIKIはまさしく平成を象徴する人物であり、演奏後に彼に贈られた拍手はその間の波乱万丈な人生と、それを乗り越えた現在に対しての拍手のようにも感じられ、間もなく終わろうとしている平成の最後にこの曲を演奏して万来の拍手を浴びている様は、辛い過去を輝かしいものに変えた瞬間そのものだったように思う。

 休憩を挟んだ2部は「AMETHYST」からスタート。X JAPANの「TEARS」やYOSHIKIが敬愛するチャイコフスキーの「SWAN LAKE」といった往年のクラシックの名曲も披露しつつ、MCで現在上映中の映画『ボヘミアン・ラプソディ』の話の流れから予定にはなかったQUEENの「BOHEMIAN RHAPSODY」を即席で披露し会場を沸かせる場面も見られた。

 「新曲やってみようかな」とYOSHIKIが鍵盤を弾き、真っ赤に染まったステージの袖から登場したのはこの日のスペシャルゲストであるHYDE(L’Arc~en~Ciel)。ひと際大きな歓声に迎えられ、今年YOSHIKI feat. HYDEとしてコラボレーションした「RED SWAN」をHYDEの伸びやかな歌声と共に披露した。演奏後にはHYDEが「YOSHIKIさんを独り占めさせていただきました」と惚気る場面もありつつ、「YOSHIKIさんの優しいオーラがありつつも独特の緊張感があって、(この緊張感は)長い音楽人生でもなかなかいただけないので光栄です」と感想を述べた。また、「RED SWAN」の感想を聞かれ「歌詞からYOSHIKIさんの意志や夢が伝わってきて、歌えば歌うほど深みが増して感動して泣きそうになる」と語り、会場からは拍手が送られた。さらに、コンサートの前日に発表された年末の『NHK紅白歌合戦』への出場のニュースについて、それぞれX JAPANとL’Arc~en~Cielとして出場経験があるにもかかわらずYOSHIKI feat. HYDEとして“初出場”と報道されたことにも触れ、YOSHIKIは当日、度胆を抜くと宣言。「また紅白歌合戦で」と挨拶を交わしHYDEはステージを後にした。

 前述したようにYOSHIKIの人生は波乱万丈であった。しかし、その間もファンに支えられて現在もこうして音楽を続けられていることに感謝の言葉を述べつつ、まだその癒えることのない心の傷口と向き合いながらこれからも生きていくと決意を話した。「愛しいX JAPANのメンバー、HIDE、TAIJI、そして僕にピアノを与えてくれた父に捧げようと思います」と演奏された「WITHOUT YOU」ではYOSHIKIの想いのこもった美しいピアノの調べと、映し出される懐かしい映像に思わず目頭が熱くなり、演奏するYOSHIKI自身も込み上げる何かを堪えているような姿が印象的だった。

「人はいつまで闘えばいいだろう、この闘いに終わりはあるのかと考えることがあります。そんなときにいつもファンのみんなが背中を押してくれる。自分に限らずみんなも常に日々いろんなことと闘っているんだと思う。たぶんきっと自分の使命を探すための旅が人生で、僕はその最期の瞬間まできっと闘い続けるんだと思います」

 ロサンゼルスに移住してから25年あまり、YOSHIKIは未だに闘いの毎日と語る。そしてこれからも癒えない心の傷と向き合いながら生きていくのだ。その彼の生き様はファンに勇気や希望を与えている。そして、この言葉はさらにこのように続く。

「みんなの夢を背負っている以上、みんなにもらった第二の人生、恩返しできるようにこれからも闘っていくので、そんな僕をこれからも応援してください」

 彼もまたファンに支えられ、生かされ第二の人生を生きている。YOSHIKIの恩返しとはそのもらった命を大切に、愛する人たちに寄り添い、その傷を癒し、生きる力を与えることなのではないかと感じた。また、命の大切さを身を以て知っているYOSHIKIだからこそ「昔は破滅の美学だったけど、今は継続の美学を貫きたいと思います」という言葉が自然と出たのだと納得した。

 そんな中、会場から「お誕生日おめでとう!」の声があがり、恥ずかしそうにしながらも「じゃあ弾いちゃおっか」と自らが「HAPPY BIRTHDAY TO YOU」を弾き、会場の全員で歌うという場面も見られ、そんな一足早い誕生日プレゼントに対して「愛するみんなに感謝の気持ちを込めて」と贈られたのはラストナンバー「ENDLESS RAIN」。最後はYOSHIKIのピアノに合わせて大合唱が巻き起こり、大歓声の中コンサートは幕を閉じた。それでも鳴り止まない拍手とYOSHIKIを呼ぶ声に応えてカーテンコールではHYDEら出演者と登場し、お決まりの「We Are X!」の掛け声で会場を一つにした。

 ロックは人生の中で常に寄り添ってくれたもの、クラシックは身体に染み付いているもの――。これは冒頭の映像のインタビューでYOSHIKIが語っていた言葉である。ロックの持つ激しさの赤、クラシックの持つ静けさの青、その極端な二つの色を持ち合わせる彼の創る音楽はいつだって私たちの心に寄り添ってくれるものであると感じた。それはもちろんYOSHIKI本人の純粋で無垢な人間性と、様々な困難を乗り越えてきた彼だからこそ、痛みを知り、その傷ついた心に寄り添うことができるのだと筆者は思う。そのYOSHIKIの終わらない闘いを、使命を探すための人生という名の旅を、私たちは見守り、支え、共に生きていきたい。そう思えた、赤と青が混ざり合う紫に染まった夜だった。

オザキケイト

最終更新:11/25(日) 10:02
リアルサウンド

記事提供社からのご案内(外部サイト)

リアルサウンド

株式会社blueprint

音楽と映画を対象とする総合カルチャーサイトです。各ジャンルのニュースから、第一線のライターによる作品レビュー、業界分析記事まで、多彩な記事をお届けします。

あなたにおすすめの記事