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不況でも韓国企業の体力を奪う傍若無人の労働組合

2018/11/29(木) 19:05配信

ニューズウィーク日本版

── 賃金を抑える代わりに雇用を増やすという計画にも反対の「貴族労組」……

大手事務機器メーカーの富士ゼロックスは韓国・仁川の工場を2019年3月末で閉鎖することを決めた。日本国内外で1万人を削減する構造調整の一環である。

韓国は、「反日」ではなく「卑日」になったのか?

1975年に韓国の同和(トンファ)産業と富士ゼロックスが合弁で設立し、経営が悪化した1998年、富士ゼロックスが株式の100%を取得し完全子会社化した工場で、職員180人に協力会社の職員を加えた350人余りが影響を受けるとみられ、労働組合の反発が予想される。

強すぎる韓国の労働組合は、これまでもたびたび問題になってきたが、韓国経済が低迷している現在、ますますその存在が際立つようになっている。

■ 「雇用の世襲」が問題視されるソウル交通公社労組

ソウル地下鉄を運営するソウル交通公社は、2018年9月21日にソウル交通公社労働組合と組合側の要求をほぼ受け入れる「労使特別合意書」を締結した。

公社が推進してきた全自動運転・スマートステーション事業は事実上の撤回となり、組合が要求する昇進制度などが盛り込まれた。労組は18年以上勤務した5級職員を4級職に昇進させるよう要求し、市庁前などで座り込みを繰り返していた。また、7級補職員の7級職への昇進は年1回実施する試験で決めることになっているが、組合は100%合格を要求し、組合員に試験を受けないよう促して、数百人の未受験者が7級に昇進できなかっただが、合格率が約92%に達すると組合は未受験者を対象とする追加試験の実施を要求していた。公社が労組の要求を受け入れる合意にいたった1週前の9月14日、朴元淳ソウル市長は労組の座り込み現場を訪れている。

また、ソウル交通公社労組は採用人事にも関与する。文在寅政権が公企業の非正規職を正規職に転換する方針を示した際、ソウル交通公社が正職員に転換した職員1285人のうち、108人が公社職員の家族や親戚だった。人事担当者の配偶者が含まれるなど雇用世襲が問題視されるなか、新たに正規職になった人の中には組合が送り込んだ‘同士’が含まれている可能性も取りざたされている。

■ 賃金を抑える代わりに雇用を増やすという計画にも反対の「貴族労組」

現代自動車労働組合は7年連続でストを行なっている。2017年11月には会社が計画した米国輸出向け小型スポーツSUV車「コナ」の増産に反対し、生産ラインを鎖で封鎖するなど、蔚山(ウルサン)工場で2日間のストを行った。

2016年には7月から10月の間に24回のストを実施し、組合は7万ウォン台の平均賃金増額などを勝ち取ったが、ストで会社が負った損失は上半期の営業利益を上回る3兆1000億ウォンに達していた。なお、労働を拒否したことで減額された賃金は平均200万ウォン以上と推定されている。

現代自動車労組は「光州型雇用」にも反対する。韓国南東部の光州広域市は平均年俸4000万ウォンの労働者1000人で年間10万台を生産する自動車工場の建設を計画する。政府と光州市が住宅、教育、医療、育児などの施設を支援し、賃金の一部を補填する内容で、市は直接雇用と間接雇用とを合わせて1万人規模の雇用創出効果を見込んでいる。賃金を抑える代わりに雇用を増やすというこの計画に、現代・起亜自動車は前向きだが、高給取り組合員の既得権を守り、平均年俸9400万ウォンのいわゆる「貴族労組」は反発を強めている。

経営危機から脱した韓国GMも労組に悩まされている。2018年4月、富平(プピョン)本社の社長室に組合員数十人が押しかけ、暴れ回ったあげく鉄パイプを振り回して什器を破壊した。法定管理の危機に置かれた会社が成果給を払わないという理由で、労組は会社側の研究開発法人の分離推進に反対し、幹部ストや青瓦台(大統領府)前での座り込みなどをしながら会社に圧力を加えている。

ルノーサムスン自動車労組も2018年10月初めに賃金引き上げを要求して4年ぶりのストを行なっており、7四半期連続で赤字に陥った双竜(サンヨン)自動車は労組の反発などで解雇者119人を復職させることになった。

■ 労組が若者の就職する道を妨げる

こうした動向の中で、現代・起亜自動車は、1996年に建設した牙山(アサン)工場を最後に韓国内に工場を建設していない。貴族労組の手が届かない中国、インド、南米、米国に19カ所の工場を建設し、組合員数を上回る5万人の雇用を生みだしているのだ。

韓国のマスコミが‘貴族労組’と呼ぶ自動車等の労働組合に同調する消費者はいない。韓国の労働組合加入者は全労働者の10.4%に過ぎず、民主総連の組合員はわずか3.4%である。この既得権を守る‘貴族労組’は会社経営を圧迫するが、しわ寄せを受けるのは会社だけではない。9割の組合に属さない労働者は、貴族労組の高賃金が商品代金に転嫁されることを憂い、品質低下を懸念する。労組は会社が新卒者を採用する体力を奪い、若者が就職する道を妨げている。

佐々木和義

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