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東口順昭は、それでも成長を続けている。成長を証明した「ミス」について

2018/11/30(金) 12:12配信

footballista

「小さな成長」をコツコツと積み重ねて

 コスタリカ戦の「ミスから見えた成長」。確かにそれは、多くの人が気付くことさえできない、「小さな成長」かもしれない。だが東口はこれまでも、決してエリートではないサッカー人生で、こうした「小さな成長」をコツコツと、しかし着実に積み重ねて、日本代表の正GKを争うまでに登りつめてきたGKだ。
 
 コスタリカ戦で殻を打ち破った東口は、続くウルグアイ戦でも好プレーを見せた。CKからのディエゴ・ゴディンの強烈なヘッドを、武器である鋭い反応で止めた。Jリーグでは何度も見られた得意のプレーだが、世界的な強豪国であるウルグアイを相手に発揮できるまでになったのだ。「代表戦では力を発揮できない」は、もはや過去のものとなりつつある。

 32歳にして、新たな境地に入った東口。ただし、ここから先は、「さらに大きな壁」が待ち受けている。

 やっと、代表戦でも力を発揮できるようになった東口だが、今度は「その上で、なお能力が及ばない」という場面が出てくる。事実、コスタリカ戦のあの「ミス」も、自分のプレーを出し切った上で、それでもなお相手に競り負けるという、能力面での課題を露呈している。ウルグアイ戦の3失点目も、東口自身が「もろにシュートストップの部分。あれは、やっぱり触っていかなあかん。そういうシンプルな修正点がもっとある」と語った通りだ。
 
 また、「国内の親善試合」では力を発揮できるようになったが、アジア杯、W杯アジア予選、そして、さらにハイレベルなW杯本大会でも同じように「自分を出せる」のか? その上で、能力面で対抗できるのか? まだまだ未知数だ。「やれる」ことを今後、東口が自らのプレーで証明していかなければならない。

 どんな能力をもっていても、試合の中でそれを発揮できなければ、意味がない。私が以前執筆したケパ・アリサバラガの記事で「技術だけを見ていては見落としてしまう、重要なポイントが隠されている」と書いたのもそのためだ。今回、技術分析等は少なめにして、あえてこのような視点から記事を書いたのも、東口がこれまで持てる能力を代表戦の中で発揮できなかったからだ。
 
 技術分析だけでは、GKのすべてを語ることはできないのである。
 
 ようやく殻を打ち破った東口だが、同じく森保監督の下で出場機会を得た権田修一、シュミット・ダニエルも、それぞれが異なる持ち味を発揮しアピールしている。現時点では大きな差はない、横一線に近い状況と言える。

 少なくともこの8年間、川島が1人、特出していたような状況ではない。現在の日本代表GK陣は今、選ばれている3人以外にも、誰でも割って入れるチャンスが充分にあると言える。ケガから復帰の中村航輔も、今後、間違いなく正GK争いに加わってくるだろう。

 日本代表GKの歴史を振り返ると、川口能活、楢崎正剛、川島永嗣……みな、「実力で前任者からポジションを奪い取って」、正GKの座をつかんできた。

 しかし現在の日本代表GK事情は、違う。川島が健在の内は、誰もポジションを奪うことはできなかった。川島を越えるGKは、この8年間、ついぞ現れなかったのである。これは、非常に重い現実として、受け止めなければならない。

 森保監督体制下で選ばれた日本代表GKたちは、川島が呼ばれなくなったことで(あくまで現時点では)、チャンスを得ている。決して、「実力で」川島からポジションを奪い取ったものではない。代表や欧州での実績・実力で、真の「川島越え」を果たすGKは、今後現れるのか? 日本のGK界、ひいては日本サッカー界の未来をも左右する、極めて重要なテーマである。

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最終更新:2018/11/30(金) 12:12
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