ここから本文です

フランス人の自信の秘密は「性教育」にあった!? 実際に授業へ潜入してみた

11/30(金) 19:08配信

ニューズウィーク日本版

パリの高校の「性教育」授業に参加

<フランス人は、なぜ自信がある人が多いのか......? その疑問の答えを求め、「愛」と「尊敬」を教えるフランス性教育の現場へフランス在住記者が潜入>

実際の授業風景を見る

フランスで生活をしていると、多くのフランス人は自分、そして他者を尊重することが上手だと感じる。そして、それこそが彼らを「自信」があるように見せているようだ。どのようにしたら、そんなふうに自分も他者をも愛することができるのか? あるフランス人女性に訊いてみたところ、その秘密は「セックス」にあると、こっそり耳元で教えてくれた。

さっそく気になって調べたところ、フランスの性教育では「愛と尊敬」を学ぶという。一体どんな授業なのか。その真相を確かめるため、パリの高校で行われた性教育の授業を受け、フランス人の家庭の性教育事情を調査した。

ある雪の降る11月下旬の朝、パリの住宅地にある高校を訪れた。

2限目の鐘が鳴ると女子生徒たちが教室に集まり、テーブルを囲んで円形に座る。集まった11人の学生は、15~16歳の女子生徒たち。まるでパリ社会の縮図のように、アラブ系、アフリカ系、インド系、アジア系の学生がバランスよく混ざっている。授業が始まると、友達同士でウケを狙った発言をしたり、下を向いて寝るふりをしたり、生徒たちからはこれから始まる「性教育」を受けることへの、照れや戸惑いが伝わってくる。

この2時間の性教育では、身体の仕組み、避妊の方法、LGBTQ(性的少数派)への理解、カップル間の関係の築き方から、ポルノグラフィーやマスターベーションまで総括的な内容をカバーする。

授業中の約束事は、「みんな一人一人意見が違うから尊重すること、クラス内で話したことは外では内緒にすること」だ。

授業を担当するのは、家族計画センター(プラニング・ファミリアル)から派遣されたクリスティ―ヌ・エリチエ。ゆったりと構え、安心して話せるお姉さんタイプだ。

クリスティーヌは早速、避妊の説明から始める。実際のピルを見せるため時計回りに渡し、生徒に避妊法について質問すると、あちこちから「コンドーム、ピル、避妊パッチ、IUD(子宮内避妊器具)」と名称が飛び出す。ある生徒は「緊急避妊用ピルは、できるだけ早く摂取するべきなのよ」と得意げな様子で語った。

そのあと、説明は女性の身体の構造へと進む。子宮、卵巣のイラストが見せられたあと、クリスティ―ヌが取り出したイラストは、「クリトリス」を説明した図だ。生徒たちは知らなかったようで、きょとんとしている。クリスティ―ヌが「女性の身体で、一番刺激に敏感な部位なのよ」と、優しく丁寧に説明すると、ある生徒が「じゃあ、オーガズムを感じるところ?」と興味を持って問いかけた。

次にクリスティーヌは、「なぜ性行為をするのか?」という質問を投げかける。生徒たちからは「快感のため」、「子どもを作るため」、「カップルの関係を維持するために必要不可欠な行為だから」とめいめいの答えが返ってくる。1人の生徒が「スポーツのため」と冗談半分に答えると、意外にもクリスティーヌは「良い答えよ」と褒めた。

「思いっきりスポーツをして汗をかいたあとは、幸せな気持ちになるよね? 愛する人との性行為も、その面では同じ感情をくれるのよ」

そんな幸せを感じるためには、お互いの「同意」がなくてはいけないと同氏は続ける。「カップル間のセックスは強制ではないの。それは、ダンスのようなもの。ある時一方がしたいと思っても、もう一方がしたくないときもある」

「大切なのは、自分の意思をはっきりと伝えること、そして相手の想いを理解しようとする心。女子が『Yes(はい)』か『No(いいえ)』をはっきりと言わないと、男子は『Yes』と捉えてしまうのよ」

生徒たちは納得したかのように、静かにクリスティーヌの話に耳を傾ける。

1/3ページ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ニューズウィーク日本版

CCCメディアハウス

2018-12・18号
12/11発売

460円(税込)

【特集】間違いだらけのAI論
AI信奉者が陥る「ソロー・パラドックスの罠」 過大評価と盲信で見失う人工知能の未来とチャンス

あなたにおすすめの記事

Yahoo!ニュースからのお知らせ