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「今年のM-1は過去最高レベルの戦いになる」元ファイナリストが断言

12/1(土) 9:00配信

週刊SPA!

 「M-1グランプリ2018」がいよいよ決着のときを迎える。エントリー4640組の頂点に立つのはいったいどのコンビなのか? 「第1回M-1グランプリ」準優勝にして、現在はそのお笑い評が業界内外から注目されるユウキロック氏に決戦の展望までを語ってもらった。自身の「M-1」挑戦からその後のコンビ解散までを綴った自叙伝『芸人迷子』が大きな話題を呼んだ元ファイナリストの見立てとは――。

 最初に断言しておく。明日、行われる「M-1グランプリ2018」決勝戦は常套句ではなく、嘘偽りなく、過去最高レベルで競われる。絶対見逃すな!!

 今年も例年通り準決勝が行われるNEW PIER HALLまで足を運び、観戦させていただいた。平日の午後5時開演にもかかわらず800席はフルハウス。チケットの転売額も高騰したと聞いた。

 まずここで、M-1グランプリ決勝までの道のりを理解していただきたい。決勝の舞台に立つには、1回戦(2分ネタ)、2回戦(3分ネタ)、3回戦(3分ネタ)、準々決勝(4分ネタ)、準決勝(4分ネタ)を勝ち上がらなければならない。ノーシードならば、5回も勝つ必要があるのだ。過酷な道程なうえに、昨今、出場芸人を悩ましているのが「動画配信」である。

 動画サイトの「GYAO!」では、3回戦と準々決勝終了後、そこで披露されたすべてのネタが配信されるのだ。準決勝が行われる日に、3回戦と準々決勝で披露したネタは全世界に配信されている。「ネタがお客さんに知られている」、我々の世界では「ネタバレ」というのだが、その可能性が非常に高いのだ。「準決勝でどのネタを持っていくのか?」という部分は勝敗の大きな鍵であり、最高のネタが5本用意できれば問題ないが、最低限、俺が考える理想的な形としては、1~3回戦は同じネタ、それ以降の準々決勝で自分たちの「ベスト2」のネタ、そして準決勝で「ベスト1」のネタで勝負をする。それでも3本のネタは必要である。しかし、過去の準決勝に比べて今の準決勝に進出するのは、そんなに簡単ではない。

 準決勝は進出が決定した時点で少なくとも「敗者復活戦」の舞台で、ネタが地上波で放送されることが確約されるため、組数は過去の「M-1」と比べても26組と少ない。だから、ここに残るために準々決勝で「ベスト1」を出さざるえないコンビもいる。なんとか勝ち残ったものの、準決勝で同じネタを再度披露し、ネタバレの悪影響を受け、撃沈するコンビもいれば、格落ちしたネタを披露して極端にウケが弱いコンビも存在した。今のM-1はそれほどまでに「戦略」が必要であり、重要なのである。

 では、今年の準決勝の戦いはどうだったのか? 昨年のファイナリストである「和牛」「スーパーマラドーナ」「かまいたち」「ゆにばーす」は、きっちり動画で披露されていなかった「ベスト1」を用意して会場が大爆発。異論の余地はなく貫禄の決勝進出である。

 2017年の年初から極端に露出が増え、前回大会も決勝進出最有力と目されていた「霜降り明星」だが、露出増加が仇となり、ネタの消費も早く、昨年は完全にネタバレで撃沈した。そんな「霜降り明星」が今年はきっちり動画で披露されていないネタを温存して会場を圧倒。念願の決勝初進出を決めた。

「霜降り明星」とともに決勝初進出を決めた「見取り図」と、唯一のヨシモト所属ではない、ケイダッシュステージ所属の「トム・ブラウン」は準々決勝のネタに新たな部分を加え、その部分が爆発。この2組の「準々決勝ネタ+α」という仕掛けは、今後の新たな突破口になるのではないかと感じた。

「ジャルジャル」は準々決勝と同じネタではあったが、昨年、審査員の松本人志さんから「一番面白かった」と言わしめた「校内放送ネタ」を踏襲するようなネタを披露。ギャグっぽい部分もあり、「何度見ても楽しめる」要素が功を奏し、しっかり観客を掴み2年連続の決勝進出を決めた。

 謎だったのが「ギャロップ」だ。彼らは準々決勝で披露したネタで勝負に出たが、観客には初見のようなウケ具合で会場を笑いの渦に包み込んだ。関西で活動する彼らは関東での知名度はそこまで高くない。失礼な書き方になるが、その部分で観客的には「ノーマーク」だったのかもしれない。しかし、彼らの実力は本物。西の横綱「ギャロップ」がついにM-1の舞台に立つ。

 俺の主観になるが今年の決勝メンバーはほぼ順当な結果である。一部では「代わり映えしない」と揶揄されたが、逆にどの一組とて変えられないほど、準決勝で敗退したメンバーと差はあったように思う。それだけに紛れもなく「過去最高のレベル」、本当に「誰が優勝するかわからない大会」になる。だからこそ優勝に大きく左右するのが「順番」と他コンビのネタとの「比較」である。

 今年も昨年同様、「笑神籤(えみくじ)」が採用される。簡単にいえば出番直前に司会の上戸彩さんがくじを引いて呼ばれたコンビがネタを披露するというもの。「どの『順番』でネタをするのか? 『誰の後に』ネタをするのか?」が重要になってくる。

 ここで決勝メンバーが準決勝のネタをファーストラウンドで披露すると仮定して、大きな括りでネタの方向性が近いコンビを分けてみた。

グループ① 繰り返し&リズム

トム・ブラウン(結成2009年9年目)

ジャルジャル(結成2003年15年目)

グループ② コンビ間

ギャロップ(結成2004年14年目)

かまいたち(結成2004年14年目)

グループ③ ツッコミウケ

見取り図(結成2007年11年目)

霜降り明星(結成2013年5年目)

グループ④ 漫才コント

和牛(結成2006年12年目)

ゆにばーす(結成2013年5年目)

スーパーマラドーナ(結成2003年15年目)

 ネタを具体的に書けないので、なぜこのコンビが同系統かの説明は省くが、同じ系統のグループの後にネタをするのは「比較」を考えた場合、不利になる可能性が高い。その相手を上回ったとしても、やや得点が伸びるのみであり、方向性の異なる種類のコンビの直後にネタを披露してウケたほうが得点の伸び率は高くなるはずである。

 そして、ネタの種類と登場順にも大きな関連がある。①から順に比較されたほうが得な順だと考えられる。グループ①の「トム・ブラウン」「ジャルジャル」は特殊なネタなので、トップ出番では不利。逆にグループ④のコンビはどの順番からでもある程度、高得点が狙えるはずだ。

 ファーストラウンドを勝ち上がり最終決戦に挑めるのは3組。この3組の組み合わせによっても、また展開が変わってくる可能性が高い。それぐらい今回のメンバーは本当の本当に、お決まりの常套句ではなく、誰が優勝するかわからない。最後は精神論のような話になりますが「魂」の戦いになるはずだ。己の「魂」で観客の「魂」を揺さぶる。「魂」が突き抜けたコンビこそが「過去最高レベル」の「M-1グランプリ2018」の王者になる。

日刊SPA!

最終更新:12/1(土) 9:00
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